咲坂伊緒の人気コミックを映画化した『思い、思われ、ふり、ふられ』(公開中)で、女優の浜辺美波と福本莉子が、影響を与え合う女子高生役で共演を果たした。「東宝シンデレラ」オーディションをきっかけに芸能界入りし、今年20歳を迎える2000年生まれという共通点のある2人。恋愛観をはじめ、成長できた転機となる作品や憧れの女優像など、笑顔いっぱいに語り合ってもらった。

明るく社交的な朱里(浜辺)、朱里の義理の弟であり葛藤を抱えるクールな理央(北村匠海)、内向的でうつむきがちな由奈(福本)、さわやかで天然な和臣(赤楚衛二)。本作は、同じ高校に通う4人それぞれの想いが絡み合い、せつない恋が動きだす様を描くみずみずしい青春映画だ。

■「恋愛観に関して、私は“夢みがちなタイプ”かも」(浜辺)

朱里と由奈は、対照的な性格ながら、自分にないものを持つ者同士、お互いに影響を与え合っていく。演じた役柄に共感できた点はあるだろうか。

浜辺は「原作を読んだ時は、どちらかというと由奈に共感できた」というが、朱里の心の奥底を見つめていくうちに、彼女に愛おしさを感じたという。「朱里は一見、明るくてとても器用な女の子に見えるのですが、恋愛のこととなると、年相応な面が見えてきて、必死に青春を生きているんだなと感じました。大人っぽくて余裕があるようにも見えますが、そう見せようとしているだけなんだなと。それを感じた時に、朱里がすごく愛おしくなったんです」。

一方の福本は「由奈は人見知りで、夢みがちな女の子。でも4人のメンバーのなかで、由奈は誰よりも強くて、自分に嘘がつけない。そして少し頑固なところもあるんです」と役柄を分析。「私自身、嘘がつけなかったり、少し頑固なところがあったりするので共感できました」と心を寄せる。

ただ恋愛観については、2人ともが役柄とは逆のタイプだそう。福本が「恋愛観に関しては、朱里ちゃんに共感ができました。夢みがちな由奈とは違って、私は結構リアリストなんです」と語ると、浜辺は「私は夢みがちかも。『王子様が来てくれないかな!』と思っちゃう。絵本のなかの王子様に憧れてしまうようなところがあって、ステキな人が突然、馬に乗って現れて『結婚しよう』と言ってきたら、手を取ってしまうかもしれない」と楽しそうに告白。福本は「危ないよ!やめて!」と笑いながら、「私はきっと、『あなたは誰ですか?』って言っちゃう」と恋愛トークに花を咲かせる。

■「浜辺さんがそばにいるだけで、安心感がありました」(福本)

息ぴったりな会話からも、2人の仲の良さがうかがえる。映画での共演は『センセイ君主』(18)、『屍人荘の殺人』(19)に続き三度目。本作の撮影秘話を聞いても、彼女たちの心地よい距離感が伝わってきた。

福本は「浜辺さんは事務所の先輩なんですが、年齢としては同い年です。私はこんなに大きな役柄をやらせていただくのは、今回が初めてで不安もあったんですが、浜辺さんがそばにいるというだけで、とても安心感がありました。役柄としても、由奈は朱里ちゃんの包容力に救われるんです」と浜辺への信頼感を吐露。2019年の春に行われた、約1か月の神戸ロケの合間には2人で映画を観に行ったそうで、浜辺は「『名探偵コナン』の映画を一緒に観に行って」と振り返るなど、地方での撮影も楽しく乗り切った。

映画には、文化祭や夏祭りなど学生らしい日々を過ごすなかで、登場人物たちが将来や恋に悩むなど、まぶしいほどの青春模様が詰め込まれている。浜辺は、撮影自体が「青春を過ごしているようだった」と語る。

「すでにお仕事もしていたので、私自身の高校生活では、体育祭や文化祭を楽しむことができなかったんです。だからこそ、ホテルから現場に通って、制服を着て、みんなで一つのことに打ち込むことのできた今回の撮影は、私にとっての青春のようでした」と話す浜辺だが、プライベートでは「放課後に制服で出かけるとかも、一度もやったことがない」のだそう。すると福本は「ええ!?」と驚き、「私は制服でユニバーサルスタジオとか行っていました。中高一貫の女子校に通っていたんですが、6年間、ユニバーサルスタジオの年間パスポートを持っていました」と学生生活を満喫していた様子。

本作の撮影でもっとも“青春”を感じたのは、4人で高台から朝焼けの街を眺めるシーンだと声を揃える。浜辺は「朝4時くらいから、朝日が昇る瞬間をねらっての撮影でした。絶対に失敗してはいけないという緊張感もあり、あのシーンがうまくいった時はすごく青春を感じました。みんなとてもいい表情をしていると思います」。福本は「由奈が高台まで階段を駆け上がっていくシーンでもあるので、私はたくさん走った思い出もあります(笑)。息切れをしてすごく大変でしたが、高台に登ると朝日がとてもきれいで。私も青春を感じました」と清々しい表情を見せる。

■「人見知りだった性格が明るくなった!」(浜辺)「頑張った経験が転機に」(福本)

浜辺は、2000年8月29日生まれで、2011年開催の第7回「東宝シンデレラ」オーディションをきっかけに芸能界入り。2000年11月25日生まれの福本は、2016年開催の第8回の同オーディションに参加している。『思い、思われ、ふり、ふられ』は、高校生たちの成長の物語だが、2人にとって「東宝シンデレラ」オーディションを受けた時と現在では、どんな変化や成長があったのだろう。

浜辺は「オーディションを受けた時、私は小学4年生でした。当時の私は人見知りが激しくて。オーディションの時も、参加者のなかで私が一番年下だったので、人見知りでも許してもらえるようなところもあり、それからもしばらくは人見知りが治りませんでした」と内気な性格を治したいと思っていたという。

「いろいろなお仕事を経験させていただくなかで、周囲の方々にも恵まれて、性格も明るくなってきました。そこが一番変わったところかなと思います。久しぶりに会った人などからは、『変わったね』と言われます」と明かすが、なかでも転機となったのは、『センセイ君主』と『映画 賭ケグルイ』(19)に出演したことだという。「あの2連チャンは、自分を変えてくれましたね!」と微笑み、「テンションを上げる必要のある役だったので、普段からテンションを高めに過ごしていましたし、共演者の方々ともとても仲良くなることができました。役を演じることで、自分を解放できた気がします」と語る。

福本は「私はこの世界に入るまで、なにかに打ち込んだり、頑張ったなと思える経験をしたことがなく、頑張り方がよくわからなかったんです」と打ち明ける。「2018年に、初舞台、初主演、初ミュージカルながら、『魔女の宅急便』という舞台をやらせていただき、プレッシャーもありましたが、その時に初めて“頑張れた”と思えるくらい、大切な経験をさせていただきました。舞台の本番に向けてお芝居についての姿勢をいろいろと学んで、“お芝居って楽しいな”と実感しました。女優さんをやっていきたいという覚悟も生まれた、私にとってのターニングポイントです」としみじみ。

浜辺も福本も、今年20歳になる。最後に憧れの女優像を聞いてみた。浜辺は「事務所で、白黒の映画を貸しだしていた時があって。その時に司葉子さんの映画を観て、本当にステキだなと思いました。白黒なのに、司葉子さんの瞳の奥が輝いていて、目のお芝居の大切さを感じました。私も銀幕で輝ける女優さんになりたいなと思いました」。福本は「長澤まさみさんに憧れます。『コンフィデンスマンJP』シリーズなど、ザ・コメディエンヌといったお芝居もされて、一方では『MOTHER マザー』のような社会派の作品にも出演される。長澤さんのような、いろいろな顔を持っている魅力的な女優さんになりたいなと思いました」と未来を見つめていた。

取材・文/成田おり枝