新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、世界的に映画館が休館となり、公開延期が相次ぐなど大打撃を受けた2020年の映画界だったが、年末には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開中)が国内興行収入の歴代記録を塗り替え、エポックメイキングな年となった。そんな紆余曲折があった2020年は、どのような作品に注目が集まり、人々に感動を与えたのか?MOVIE WALKER PRESSでは、年末にスペシャルサイト「映画人が選ぶ、ベスト映画2020」を開設。あわせて「映画ファンが選ぶ、ベスト映画2020」と題し、ユーザーから“グッと来た”映画を募集した。その結果を、回答者の印象的なコメントとあわせて発表していきたい!

■三浦春馬が主演した『天外者』が堂々の1位に!

1位に輝いたのは、昨年7月に惜しまれつつも急逝した三浦春馬が主演した『天外者』(公開中)。本作は、幕末から明治初期にかけて奔走し、商工業の組織化、信用秩序の再構築を図るなど、日本の経済発展に貢献した五代友厚を主人公とする青春群像劇で、五代を三浦が熱演したほか、坂本龍馬役で三浦翔平、岩崎弥太郎役で西川貴教、伊藤博文役で森永悠希らが出演した。

「三浦春馬さん演じる五代友厚を周りのキャストがサポートしつつ、しっかりそれぞれの人物も違和感なく演じられている。鑑賞回数を重ねるごとに理解も深まり、何度も観たくなる。こんな映画に出会えたのは久々です」(40代・女性)

「歴史に埋もれてしまった100年後の日本を夢見た五代友厚を三浦春馬さんが熱く演じています。殺陣もすばらしく、演技の幅も広く最後の演説は圧巻でした」(50代・女性)

「人が人の想いを繋いでいくことの大切さ、尊さを学びました。幕末に活躍した五代友厚や坂本龍馬のような大きなことは成し得ないでしょうけれど、自分自身の思いや願いが誰かに繋がり、なにか形を成すかもしれない」(40代・女性)

欧米列強の脅威が迫るなか、日本の未来を見据えて尽力した五代たちの熱い思いがビシバシ伝わってくる作品で、本作を鑑賞した人からもキャスト陣の演技を絶賛する声が続出している。

■草なぎ剛がトランスジェンダー役に挑んだ『ミッドナイトスワン』

続く2位には、『ミッドナイトスワン』(公開中)がランクイン。トランスジェンダーとして身体と心の葛藤を抱えて生きる主人公が、バレエダンサー志望の少女と出会い、疑似親子的な関係を深めていく物語で、草なぎ剛がトランスジェンダーという難役に挑んだ。

「ゆっくりと築き上げられる主演2人の関係性、運命と向き合い突き進む姿が、あまりにも美しい。“人間の美しさ"の本質を考えさせられ、不器用ながらも人と人がコネクトしてく様から、『自分は一人じゃない』と鼓舞される作品でした!」(30代・女性)

「何回観ても異なる感情が湧きでてきて、とても感動した映画だった」(50代・女性)

「初めて観た時の衝撃が忘れられない。心にのしかかるものがなんなのか、自分でもつかみきれないくらいいろいろなことを考え眠れなくなるほど。草なぎさん、服部(樹咲)さんらキャスト全員の演技がすばらしく、美しい映像、音楽と共に忘れられない1本になりました」(40代・女性)

キャスト陣の演技を中心に感銘を受けたというコメントが数多く集まった一方で、複雑なテーマを受け止めきれないという声も。しかし、そのことが作品について深く考える要因にもなっており、胸にしっかりと焼きついて離れないようだ。

■“時間逆行”が話題のクリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』(20)は3位という結果に。海外の大作、注目作が次々と公開延期となるなか、劇場での上映にこだわるノーラン監督の強い希望もあり、公開が実現した。第三次世界大戦を止めるために奮闘する名もなきエージェントの活躍を描いたスパイアクションで、順行する映像と“時間逆行”によって巻き戻る映像が入り乱れた圧巻の映像世界も大きな話題となった。

「最高の時間ミステリーでありスパイ映画でした。このご時世に劇場で公開してくれたノーラン監督に感謝です」(60代・女性)

「久しぶりに何度も映画館に通った映画。内容もさることながら、映像もすばらしいので、何度も観たい映画の一つになった」(30代・男性)

IMAXカメラで撮影された本作については、大きなスクリーンで映画を鑑賞する喜びや作品への没入感に浸れる点など、大迫力の映像に興奮を抑えきれないといった声がたくさん。ストーリーも複雑で、一度観ただけでは理解できない人も多く、それが劇場に何度も足を運ぶきっかけにつながっている。作品が発表されるたびに高い期待をかけられるノーランらしい感想となった。

■『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』より煉獄杏寿郎を絶賛する声が続々

そして、4位には2020年を象徴する1本となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が登場。累計発行部数1億部を突破した吾峠呼世晴の人気漫画を原作としたテレビアニメ「鬼滅の刃」の劇場版で、主人公の竈門炭治郎と仲間たちが“無限列車”に乗り込むシーンで幕を下ろしたアニメ「竈門炭治郎 立志編」の最終話からつながる物語が展開する。

「煉獄さんに会いに映画館に何度も通いました。テレビアニメも映画も、続編を楽しみに待っています!」(30代・女性)

「生命を鼓舞してくれる作品」(30代・女性)

「全集中で泣いた」(30代・男性)

本作で大活躍する鬼殺隊最強の剣士“柱”の一人である煉獄杏寿郎にコメントが集中。制作スタジオのufotableによる躍動感あふれるアニメーション、圧巻の映像美に感動したという声も上がっている。

■ハッピーエンドに救われたとの声が…『きみの瞳(め)が問いかけている』もトップ5入り

吉高由里子と横浜流星が共演したラブストーリー『きみの瞳(め)が問いかけている』(公開中)も5位に入り、映画ファンの支持を集めている。監督は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)の三木孝浩が務め、不慮の事故で視力を失った女性と罪を犯しキックボクサーの夢を失った男性が、互いに惹かれ合いつつも残酷な運命に翻弄される姿が描かれる。

「このキャスティングだからこそ成立した作品。横浜さんの身体能力と表情で魅せる演技力が遺憾なく発揮されている。吉高さんの久々の恋愛映画への期待を超えるナチュラルな魅力にも心奪われました」(50代・女性)

「このご時世、ハッピーエンドに救われました。主演の2人はもちろん、どの役者さんもハマっていて、観終わった後の心地よい余韻が続いています」(50代・女性)

吉高と横浜が体現する純愛が見どころで、その恋模様に幸せな気持ちになったという人が大勢いるようだ。

5位以下では、『ワンダーウーマン 1984』(公開中)、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(公開中)、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(20)が同率6位でランクイン。また、昨年の米アカデミー賞作品賞を含む4部門に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(19)、『浅田家!』(20)、『ジョジョ・ラビット』(19)の3本も同率9位で続いている。

■『ブックマート』『ジョジョ・ラビット』など映画ファンが活力をもらった作品がランクイン

「ただのヒーロー映画ではなく、普遍的なテーマが明確にあって、ストーリーの結び付けもしっかりしているところがすごい!あと、ダイアナ尊い!」(20代・女性/『ワンダーウーマン 1984』)

「コロナ禍で友人と満足に会うことができないなか、最高の友情というものを見ました!とにかく登場人物たちのキャラが濃すぎて、嫌いなキャラクターがいませんでした」(20代・男性/『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』)

「先が読めない脚本が見事!ハラハラドキドキするサスペンス、ちょっと笑えるコメディ、そしてショッキングな展開といろんな要素がバランスよく詰め込まれている。アカデミー賞を獲ったのも納得です」(40代・男性/『パラサイト 半地下の家族』)

「実話ベースの骨太作品。笑いあり、涙ありで、いろんな要素がぎっしり詰まったすてきな映画です。二宮和也さん、最高の演技でした」(30代・女性/『浅田家!』)

「あのワンシーンが劇場内の空気を一変したのを覚えている。衝撃だった。あのカットだけで全て理解できた。コメディタッチでありながら戦争の悲惨さ愚かさを同時に伝えていた。同じ空の下、全ての子どもたちが気兼ねなくダンスできる日が来ればいいと思った」(女性/『ジョジョ・ラビット』)

また、惜しくもランクインはしなかったが、『燃ゆる女の肖像』など映画ファンに愛された良作への賛辞も見受けられた。
「登場キャラクターは女性のみという徹底した作品、5日間だけの境界のない穏やかな生活とじわじわと火の付いてゆく激情多くの人たちに映画はここまで来たと感じて欲しいセリーヌ・シアマ監督に感謝します」(30代・女性/『燃ゆる女の肖像』)

さらに、過去作を「リバイバル上映で数十年ぶりに観て感動した」などの声や、ストリーミング作品への投票も。状況は変われど、大勢の映画ファンが様々な作品に感動し、活力をもらっているということ。2021年もそんな心に残る1本に出会ってほしい。

文・構成/サンクレイオ翼

※煉獄杏寿郎の「煉」は、火+東が正式表記