お笑い芸人で芥川賞作家、又吉直樹の同名恋愛小説を、山崎賢人主演で映画化した『劇場』(4月17日公開)の完成披露イベントが、3月25日に丸の内ピカデリーで開催され、山崎、松岡茉優、寛 一 郎、行定勲監督、又吉が登壇。新型コロナウイルス感染症予防対策で、約800名入る劇場で、観客なしのイベントとなったので、山崎は「お客さんのいない劇場は寂しいんだなと。お客さんに観てもらって作品は成立する、と思いましたので、映画の魅力を伝えるよう、頑張っていきたいと思います」とあふれる想いを口にした。

マスコミ陣がステージに上がり、映画館の客席側に座った山崎たちは、「不思議な風景」と顔を見合わせる。「5対100くらい」と山崎が言うと、寛 一 郎も「悪いことはしてないけど、謝罪会見みたい。慣れないですね」と感想を述べると、松岡が「謝罪会見は、こういうところではやらないと思うけど」と笑顔でツッコみ、笑いを取る。又吉も「こういう演劇、観たことないですね。お客さんがこっちでこの舞台」とうなずく。

行定監督も「今日、無人の劇場にいるけど、やはり自分たちの作ったものを観てもらいたい。コロナウイルスを拡散しないように、というのはあるけど、とにかく僕らはエンタテインメントにいる人間なので、劇場にいる人を豊かにしたい。こういう状況のなかで、映画が問われているなという気持ちもあります。観たいから行くとなった時、がっかりした映画を作ってはいけないんだなと思いました」と熱い想いを語った。

また、現在メガヒット中のである第92回アカデミー賞作品賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督から、本作を激賞するコメントが紹介された。「成長と克服に関する物語。行定監督ならではの熟練で老練な力量を再確認できる内容でした」と始まり、物語について「同じ作り手という立場にとって、一層胸に迫るものでした」と称賛すると、山崎と松岡は「うれしいですね」と感激しきりだった。

行定監督は「ポン・ジュノは、すごく律儀な人。英語字幕があったけど、日本語がわかるスタッフと観てくれて、完全に把握してくれた。すごいなと。いろんなシーンが好きだと、手紙みたいに長く書いてくれた。いまをときめく監督ではあるけど、あの人は別格なので。又吉さんの原作の、ある種、特種な2人、でも、普遍的なものをちゃんとくみとってくれてありがたいなと思います」と心から感謝した。

原作者である又吉も、映画について「すごく原作を大切にしてくださってるなと。僕自身がわかってなかったことも、映像を観て発見したりしたので、ぜひ映像でも観ていただきたいなと、自信をもっておすすめしたいです」と、映画の仕上がりに太鼓判を押した。

最後に山崎が「『劇場』は観終わったあと、大切な人を絶対に思い浮かべるような映画になっていると思います。長く生きていくなかで、上手くいかないことがたくさんあると思いますが、自分が信じてやってきたなかで、上手くいかなかったことが、最後にいい方向へ向かっていくんじゃないかと思えるような作品だと思います」としっかりとアピールした。

※山崎賢人の「崎」は立つ崎が正式表記(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)