ホラー映画のいちジャンルとして熱狂的なファンを獲得している「ゾンビ映画」。よみがえった死者と戦う作品もあれば、恐怖に震えながら必死で逃げる作品など、一口にゾンビ映画とくくってもその切り口は様々。またホラーとしてではなく、コメディとしてゾンビを題材にした作品も人気を博している。

そこで本項では、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で公開されたゾンビ映画の高評価ランキングを参考に、その中から日本国内の動画配信サービスで視聴可能な作品で、批評家からの評価が特に高い10作品を一挙に紹介したい。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

それでは、ゾンビ映画のフレッシュな作品10傑を挙げてみよう。

■ 100%フレッシュ『カメラを止めるな!』(17)

■ 94%フレッシュ『新感染/ファイナル・エクスプレス』(16)

■ 93%フレッシュ『ゾンビ』(77)

■ 93%フレッシュ『ZONBIO死霊のしたたり』(85)

■ 92%フレッシュ『バタリアン』(85)

■ 90%フレッシュ『ゾンビランド』(09)

■ 88%フレッシュ『カーゴ』(18)

■ 88%フレッシュ『パラノーマン ブライス・ホローの謎』(12)

■ 87%フレッシュ『28日後…』(02)

■ 87%フレッシュ『飢えた侵略者』(17)

ゾンビという存在は得てして“ロッテン(腐った)”なものであるが、映画になればたちまち“フレッシュ”になるようだ。ゾンビ映画史に燦然と輝く名作をおさえ、しかも見事に100%フレッシュを獲得したのは、なんと日本のインディペンデント映画『カメラを止めるな!』。

斬新な構成とユニークなゾンビの描き方で話題を集めた同作は、わずか2館での公開からたちまち口コミで話題が広がり353館まで上映劇場が増える社会現象に。しかも興行収入は製作費のおよそ1000倍にも及ぶ31.2億円。日本アカデミー賞はもちろん「新語・流行語大賞」にもノミネートされるなど、まさに大旋風。その勢いは海を渡り、海外でもこれだけの高評価を獲得しているのだ。

そんな『カメ止め』に次ぐ高スコアを叩きだしたのもアジア発の作品。韓国映画『新感染/ファイナル・エクスプレス』だ。もともとゾンビは呪術などで墓からよみがえってくることが定説であったが、噛まれるとゾンビになるという設定が派生してか、近年はウイルスなどによって“感染”するタイプのゾンビ映画が増加。それによって土葬文化のない国でもゾンビ映画が作られるようになり、ゾンビのグローバル化につながったわけだ。

この『新感染』も未知のウイルスの感染によって次々と人々がゾンビと化す様を、ソウルから釜山へと向かう高速鉄道KTXという密室空間のなかで緊迫感たっぷりに描かれる。ゾンビ映画として観ても、鉄道映画として観ても見事な作品であると同時に、ゾンビ映画に欠かすことができない必死で人間でありつづけようとする者たちのドラマに涙すること間違いなしだ。ちなみに、序盤で登場する感染者の女性を演じているのは『新聞記者』(19)で第43回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いたシム・ウンギョン。

ほかにもジョージ・A・ロメロ監督が手掛けた定番中の定番『ゾンビ』やスチュアート・ゴードン監督の『ZOMBIO』、シリーズ化もされた『バタリアン』など往年の人気作がずらり。

さらにコメディ色の強い『ゾンビランド』やアニメーション作品『パラノーマン』、そしてNetflixオリジナル映画の『カーゴ』と『飢えた侵略者』と、ジャンルもメディアもまたいでゾンビ映画の勢いは日増しに拡大をつづけている。次の新たな傑作の襲来に備えバラエティに富んだゾンビ映画の傑作たちを味わい、現実世界でいつ起こるかわからない緊急事態を乗りきる参考にしてみてはいかがだろうか。(Movie Walker・文/久保田 和馬)