第92回アカデミー賞で非英語作品として初めて作品賞に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(公開中)。同作は第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得するなど世界中を席巻。ほかにも近年、多くの韓国映画が世界中で高い評価を獲得し、アジア屈指の映画大国としての地位を確立している。そこで本稿では、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で公開された韓国映画の高評価ランキングを参考に、その中から日本国内の動画配信サービスで視聴可能な作品で、批評家からの評価が特に高い10作品を一挙に紹介したい。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

それでは、韓国映画のフレッシュ作品10傑を挙げてみよう。

■ 100%フレッシュ『密偵』(16)

■ 99%フレッシュ『パラサイト 半地下の家族』(19)

■ 99%フレッシュ『哭声』(16)

■ 96%フレッシュ『母なる証明』(09)

■ 95%フレッシュ『バーニング 劇場版』(18)

■ 95%フレッシュ『お嬢さん』(16)

■ 93%フレッシュ『グエムル 漢江の怪物』(06)

■ 94%フレッシュ『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)

■ 92%フレッシュ『夜の浜辺でひとり』(17)

■ 91%フレッシュ『正しい日 間違えた日』(15)

まず注目すべきは10作品中8本が2010年代に製作された作品ということ。これは90年代後半から着実に成長を続けてきた韓国映画界が、この10年で飛躍を遂げたなによりの表れと言えるだろう。ちなみに残る2作品『母なる証明』と『グエムル』は、いずれも『パラサイト』と同じポン・ジュノ監督の作品。しかもどちらもカンヌ国際映画祭に出品されており、ここで挙げられた10作品すべてがヨーロッパの主要な国際映画祭でお披露目されているのも見逃せないポイントだ(カンヌ7作品、ヴェネチア、ベルリン、ロカルノ各1作品)。

その中で100%フレッシュを獲得し、トップに輝いたのは韓国映画界を代表する職人監督キム・ジウンがメガホンをとり、ソン・ガンホとコン・ユ、イ・ビョンホンの韓国三大スターと、日本人俳優・鶴見辰吾の共演で大きな話題を集めた『密偵』。日本の統治時代を舞台に義烈団と警察との攻防が繰り広げられていくという韓国映画らしい硬派なポリティカルサスペンスで、一寸たりとも途絶えない緊張感が魅力の一本だ。

ほかにも『お嬢さん』や『新感染』といった韓国映画の力を感じさせる傑作ぞろいのなか、一押しの作品は『パラサイト』の前年にカンヌ国際映画祭で歴代最高評価を獲得し、アカデミー賞外国語映画賞(現在の国際長編映画賞)の最終選考にも駒を進めたイ・チャンドン監督の『バーニング 劇場版』。村上春樹の短編「納屋を焼く」を原作に、舞台を現代韓国に移し替えた同作は、美しい映像とミステリアスな語り口がクセになる極上の一本。

ちなみにチャンドン監督の前作『ポエトリー アグネスの詩』(10)も100%フレッシュを獲得しているが、現在日本国内の配信サービスで鑑賞できないため今回の10傑からは除外している。こちらも是非チェックしてほしい作品だ。

『パラサイト』が受賞するまで、韓国映画は一度もアカデミー賞にノミネートすらされてこなかった歴史がある。変化と多様性の時代に映画界の中心地ハリウッドで大きな一歩を踏みだすことに成功したポン・ジュノ監督ら野心的な映画人たちによって、韓国映画界は今後さらなる発展を遂げることだろう。『パラサイト』で韓国映画の魅力を知った人はもちろん、韓国映画ファンや韓国映画に少しでも興味がある人は是非、韓国映画の計り知れないパワーをとくと体感してほしい。(Movie Walker・文/久保田 和馬)