これまで数えきれないほど多くの著作が映像化されてきたホラー小説界の帝王スティーヴン・キング。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)が大ヒットを記録したことで、近年さらに注目が高まっている。本稿では、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で公開されたスティーブン・キング原作映画の高評価ランキングを参考に、その中から日本国内の各配信サービスで視聴可能な作品で、批評家からの評価が特に高い10作品を一挙に紹介したい。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

それでは、スティーブン・キング原作映画のフレッシュな作品10傑を挙げてみよう。

■ 92%フレッシュ『キャリー』(76)

■ 91%フレッシュ『スタンド・バイ・ミー』(86)

■ 91%フレッシュ『デッドゾーン』(83)

■ 90%フレッシュ『ミザリー』(90)

■ 90%フレッシュ『ショーシャンクの空に』(94)

■ 85%フレッシュ『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)

■ 85%フレッシュ『シャイニング』(80)

■ 84%フレッシュ『黙秘』(95)

■ 78%フレッシュ『グリーンマイル』(99)

■ 77%フレッシュ『ドクター・スリープ』(19)

トップに輝いたのは92%フレッシュを獲得したブライアン・デ・パルマ監督の『キャリー』。キング作品で最初に映画化された記念碑的作品とあっていまだに人気が高く、20年以上の時を経て続編が製作されたり、2013年にはクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイクも作られるほど。ホラー映画というジャンル自体はあまり批評家から評価されない傾向があるが、本作はやはり別格なのだろう。シシー・スペイセクの雰囲気をはじめ、作品全体に終始流れる不穏な空気感は、最後まで気が抜けないものがある。

また、青春映画の金字塔『スタンド・バイ・ミー』や、世界中の雑誌などで定期的に発表されるオールタイム映画ランキングで常に上位に入る『ショーシャンクの空に』、トム・ハンクスが主演を務め不思議な能力を持つ死刑囚との交流を描いた『グリーン・マイル』の3作品と、非ホラー・非サスペンス作品の活躍が際立つ。とくに『ショーシャンクの空に』は批評家からの評価では90%フレッシュと比較的落ち着いた印象だが、一般ユーザーからの評価では98%と稀に見る好スコアを出しているのは「ロッテン・トマト」らしい現象のひとつだ。

前述した通り、キング作品ブームを再燃させた『IT/イット』は、興行的成功のみならず批評面でも成功していると言えるだろう。過去にテレビ映画として実写化されたことがあるので、厳密に言えばリメイク作品となるわけだが、それを感じさせないオリジナリティにあふれたジュブナイル・ホラーの傑作。もちろん続編の『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(19)とあわせてペニーワイズの恐怖に触れることをおすすめしたい。

そしてもちろんスタンリー・キューブリック監督が手掛けたホラー映画屈指の名作と名高い『シャイニング』も85%フレッシュの高評価。約40年の時を経て作られた正統続編である『ドクター・スリープ』と続けて鑑賞すると、舞台となるホテルの造形やストーリーのリンクなどがより一層楽しめること間違いなし。キング作品の魅力は単なる恐怖にとどまらず、その奥に豊かな人間ドラマが潜んでいること。ホラーが苦手な方も、是非一度挑戦してみてはいかがだろうか。(Movie Walker・文/久保田 和馬)