東工大、免疫T細胞の活性化を開始させる情報伝達分子の働きを明らかに

東工大、免疫T細胞の活性化を開始させる情報伝達分子の働きを明らかに

東京工業大学(東工大)は、同大学生命理工学院の伊藤由馬特任助教、十川久美子准教授、徳永万喜洋教授の研究チームが、新しい分子動態解析方法を開発し、免疫T細胞の活性化を開始させる分子メカニズムを定量的に明らかにしたことを発表した。この成果は8月1日、英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

免疫システムの司令塔として働くリンパ球T細胞が休止状態から働くようになる際には、細胞表面で抗原を受容したという情報を伝える分子が集まることにより、細胞活性化が始まることが知られている。しかし、このような生命の働きが、分子のどのような動きや変化、分子間相互作用によって実現されているのかは、いまだに謎が多い。

これらを明らかにする生命動態の分野では、光学顕微鏡で分子1個1個を直接観る1分子イメージング法が、重要な方法となっており、これまで1分子イメージング法で、分子の動きの時間的な変化や、分子間相互作用を定量的に計測する良い手法がなかった。

研究チームは、分子1個1個の軌跡を追跡し、分子の動きばかりでなく、他の分子との相互作用についても時間的・空間的な変化を解析できる新しい方法を考案し、定量計測を実現した。

この解析により、以下の事柄が判明した。(1)マイクロクラスターは、分子が柔らかく結合し合ってできて、ナノレベルで 分子密度に濃淡があり、マイクロクラスター内を分子が動くことができる。(2)抗原を受容する複合体構成分子CD3も、シグナル制御分子CD45も、マイクロスターの内・境界・外のどこででも、結合してゆっくり動く状態と、結合せずに速く動く状態とがある。マイクロクラスターの外にも、ナノレベルの小さなクラスターがあることを示唆している。(3)CD3もCD45も速い結合解離を繰り返す一時的な結合状態と安定な結合 状態の2つの状態がある。マイクロクラスター内では、両分子とも結合が促進され安定化されている。(4)CD45のみは、マイクロクラスターの境界領域でも結合が促進されており、シグナル制御分子としての特徴を反映している。

研究グループは、今回考案された方法に関して、分子動態と相互作用を定量的に解明する基本的な手法として、今後広く用いられると考えられるとともに、細胞表面での反応に限らず、生きた状態の細胞内部での仕組みにも用いることができるとしている。今後は、免疫細胞に限らず、核内で遺伝子が発現する時にどのようなことが起こっているのかなど、種々の生命機能に適用できると説明している。この手法で、生命現象の分子メカニズム解明に大きな成果をもたらすことが期待されるとのことだ。

関連記事

おすすめ情報

マイナビニュースの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

経済のニュースランキング

ランキングの続きを見る

経済の新着ニュース

新着ニュース一覧へ

人気記事ランキング

ランキングの続きを見る

東京の新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索