富士通は2月12日、都内で記者会見を開き、新たな街頭広告のビジネスモデル創出や街づくりを支援するため、デジタルサイネージなどの街頭広告の視聴人数や人物属性(性別・年代)をもとに広告効果を測定するAI画像解析ソリューションの最新版「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance V3」を広告事業者や広告主、駅、空港、大規模施設などの施設管理者向けに販売を開始すると発表した。

GREENAGES Citywide Surveillanceは、街中や施設などに設置されたカメラの映像を「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」のAI技術によって解析し、人物や車両の様々な情報を自動抽出し、都市全体の動きをリアルタイムに把握することで、安心して快適に暮らせる街づくりを目指したスマート都市監視ソリューション。

最新版では、カメラ映像から個人を特定せずに、群衆を対象とした視認方向や性別、年代など、群衆のリアルな行動や特徴を捉える新機能を追加している。

富士通 デジタルソフトウェア&ソリューションビジネスグループ テクニカルコンピューティングソリューション事業本部 本部長代理の有山俊朗氏は最新版に関して「人と街に寄り添うAIを強化していくことを目的にしている。都市活動をデジタルに認識するため、より人間にフォーカスした形で視認測定と属性推定を可能としており、プライバシーに配慮して個人を認識するのではなく、群衆として識別しながらリアルな行動・特徴を捉えることができる」と説明した。

同ソリューションは2016年に販売を開始し、セキュリティ関連機関、交通インフラ、企業などに採用されており、2018年には人物・車両の検知や数の測定だけでなく、AI技術で人物の輻輳特徴や車種・メーカ・車型・色などを判別する検知機能を拡充させ、解析結果をAPIで提供する機能の追加など都市の多様なシーンでの活用を想定した機能強化を図っている。

今回、同ソリューションの他分野への応用として、広告業界において課題だった街頭広告の価値測定を実現するため、街頭広告周辺を行き交う群衆を対象とした視聴人数の測定や属性推定により、広告投資効果の分析、広告視聴数を把握可能なデジタルサイネージの販売モデル創出を支援するV3の提供を開始する。なお、既設のカメラや低価格帯のカメラでも検証し、有用性を確認している。

V3は「視認測定」「属性(性別・年代)推定」の2つの特徴があり、視認測定ではデジタルサイネージや看板広告付近に設置したカメラ映像から個人を特定せずに群衆の視認方向を測定することで広告視聴数や視聴時間、視聴率を算出。

人物が小さく、顔の正面が写っていない群衆でも頭部の向きや角度などから個々の視認方向を検出可能としている。広告視聴数の把握が可能なデジタルサイネージの販売、街頭や駅、空港、ショッピングモールなどに設置されたデジタルサイネージや看板の誘導効果の測定、人流最適化、のぞき込みなどの不審な行動の検知を可能としている。

属性推定については、街中で群衆がランダムに行き交うような人物が小さく、顔の正面が写っていない状況でも個人を特定せずに髪型や服装などの前進特徴から群衆の性別・年代を推定する。来場者の属性に応じた案内や広告表示などを実現するインタラクティブサイネージの導入、駅、空港、ショッピングモールなどにおけるプライバシーに配慮した来場者の属性分析ができるという。

具体的な適用場面としては「リアル店舗マネジメント」「タウンマネジメント」「パブリックセキュリティ」の3つを挙げている。

リアル店舗マネジメントでは銀行におけるATM防犯の強化、タウンマネジメントは空港施設でのカウンター、オペレーションの効率化、自治体での人流マネジメントによる観光混雑緩和、パブリックセキュリティではエンターテイメント施設での不審人物検知、利用者属性分析などへの適用を想定している。

有山氏は「これまで街頭広告では、費用対効果が見えない、標準指標がない、販売額が適切か否かの客観的なデータがないといった課題があった。しかし、最新版では人の興味や行動に着目することで街頭広告の到達度測定・分析が実現できるほか、街頭広告の新たなビジネスモデルの創出が可能だ」と強調していた。

価格(画像解析端末やカメラなどのハードウェア費用、ネットワーク通信費用、クラウド使用料などは含まない)は、税別でGREENAGES Citywide Surveillance V3 視認測定、同属性推定ともに1サイネージあたり4万円/月額(プログラムサポート含む)、2020年度末までに1万サイネージの導入を計画。また、2020年度中に欧州・アジアに順次提供を予定している。