国内で、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから数週間たちましたが、いまだ収束していません。そうした中、企業は新型コロナの感染を防止するため、テレワークを実施するなどの対応を迫られています。

一方、さまざまな調査で、テレワークに「関心がある」「やってみたい」という人が多いながら、企業での導入はそれほど伸びていないことがわかっています。加えて、テレワークを利用してみて、自宅では思ったよりも集中できないなどの問題点も明らかになってきています。

経理業務を代行する「バーチャル経理アシスタント」サービスを提供するメリービズは、全国に約800名のリモートワークで働くスタッフを抱えています。800名のリモートワーカーがスムーズに働けるよう、管理するのは簡単ではありません。そこで今回、メリービズ 代表取締役の工藤博樹氏にテレワークをうまく使いこなすポイントを聞きました。

○バックオフィス業務こそ、テレワークのチャンス

--環境が整えば、テレワークの導入は決して難しくないということですが--

工藤氏: そうですね。もちろん、コストをかけずにテレワークを導入するというのは難しいかもしれませんが、毎日の通勤時間や移動ストレスを考えると、生産性向上にも有効ではないでしょうか。

経理などのオフィス業務は書類形式のモノを扱うことが多いため、「オフィスでやるもの=リモートに適さない」と言われている点も、メリービズにバーチャル経理アシスタントサービスがさまざまなお客様に利用いただけていることから必ずしも正しいとは言い切れません。むしろ、仕事の成果の見えやすいバックオフィス業務こそ、テレワークに適しているはずです。
○上手にテレワークを行うには「コミュニケーション」の密度を上げること

--さて、テレワークできるようになった場合、利用する側はどのような準備が必要ですか?--

工藤氏: 例えば、これまでにチャットツールを使ったことがなかったり、クラウド上でデータをやりとりしたことがなかったりという場合は、新たにそうしたツールを導入することになります。また、他のソフトウェアやツールと同様に、しばらく使って慣れる必要があります。

ちなみに、メリービズのリモート経理スタッフに対しては、スタッフ間のコミュニケーションやデータ管理に用いるツールを使いこなすためのレクチャーなどを必要に応じて行います。コミュニケーションのためにSlackを使っていますし、データのやりとりにはBoxを使っています。慣れるまでの時間は必要でしょうが、難しい操作はないのでそれほど構える必要はないと思います。

--顔を合わせないコミュニケーションを不安に思う方が、押さえるべきポイントはありますか?--

工藤氏: リモートワーカーの方に特にお願いしているのは、積極的にコミュニケーションを図ってほしいということです。オフィスと違って直接顔を合わせるチャンスが少ない分、状況をこまめに発信してほしいからです。

例えば、本人の体調が悪くても、同僚やマネージャーはそばにいないので気づいてあげることができません。ほかにも、家族の病気や突発的なトラブルで業務をこなすのが難しいようであれば、フォローが必要になるのですぐに相談してほしいと伝えています。

それから、オンラインでのやりとりはチャットが主体になることが多い。作業中か、休憩中か、PCの前にいるのか。それらを知る手掛かりは文字だけになるので、「作業を始めます」「少し休憩します」といった、今、自分が何をしているかを知らせる発信は心がけたほうがよいでしょう。

当社の取締役の山室は、花粉症を抑えるためにスギのない沖縄で「避粉リモート」をしていましたが、その時もお互いの様子がわかるようにWebミーティングをつないでいました。メンバーが今何をしているのかがわかるだけでも、コミュニケーションの価値は大きいと思いますよ。
○オフィスにいないとサボる? 自己管理の方法は?

--テレワークにおいては、オフィスにいる時と比べて自由になる分、自己管理が重要になります。勤務管理はどのようにすればよいでしょうか?--

工藤氏: 一定の期間は、テレワークに慣れるための「慣らし期間」があったほうがよいかもしれません。自宅のほうがいいか、どこか別の場所へ「疑似出社」したほうがいいか。休憩のペースなども自由ですから、自分がオフィス以外でどのように働くと効率がよさそうかを考えるのも大切ですね。**--

朝が苦手な人は、午前中に会議の予定を入れるなどで動き出せるルーティンを作ってしまうのがいいですよ。これまでは朝起きて通勤できていたのですから、大丈夫(笑)。

また、メリービズでは始業時と終業時に報告してもらうようにしています。自分がどういう状況なのかを宣言することで、気持ちが切り替わるのでおすすめです。

--会社側で社員の状況が見辛い分、評価も見えづらいのではないでしょうか?--

工藤氏: まず、評価体制を整えるのは会社のタスクです。テレワークであっても社員がしっかり成果を出せるよう、業務を整理することが企業に求められます。

それには、作業をできるだけ細分化・整理することが必要です。当社は、一連の業務フローの中にどのようなタスクがあるのかを細かくヒアリングしてルールを決めています。

経理は、特に処理した伝票の数など成果が見やすい職種でもあります。ルール化を行い、アウトプットが見える状況があることで、従業員も成果が出しやすいはずです。

--今回の新型コロナウイルスへの対策として、テレワークを導入する企業が増えてきました--

工藤氏: 基本的にテレワークは、これまでに使っていた通勤時間がなくなる分、仕事以外で使える時間は増えるはずです。使える時間が増えることで、人に会ったり、勉強したり、家族で過ごしたり、暮らし方の幅が広がります。それは、チーム全体の満足度向上につながるはずです。

これからはフルタイムではない働き方を選択し、ワークライフバランスを大切にする人が増えることが予想されます。各々のペースで仕事を進められるテレワークというスタイルも、ますます増えていくでしょう。ぜひいろいろな企業で検討してみてほしいと思っています。