独立系半導体ナノテク研究機関のベルギーimecは、実際の脳神経網に近いSpiking Neural Network(スパイキングニューラルネットワーク:SNN)を使用してレーダー信号の処理を行う半導体チップを開発したと発表した。

生体ニューロン群が時間的パターンを認識するために動作する方法を模倣したimecのチップは、人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた従来品に比べ電力消費は100分の1に、レイテンシを10分の1に低減し、ほぼ瞬時の意思決定を可能にするという。たとえば、マイクロドップラーレーダーシグネチャは、30mWの消費電力で分類できるという。また、チップのアーキテクチャとアルゴリズムは、さまざまなセンサデータ(心電図、音声、ソナー、レーダー、ライダーストリームなど)を処理するように簡単に調整できるとしており、最初にドローン向けに応用し、近づいてくる物体により効果的に反応できる低電力かつインテリジェントな衝突防止レーダー装置を実現したという。

同チップは当初、電力に制約のある装置で心電図(ECG)と音声処理をサポートするように設計されたが、低電力と低レイテンシを特徴とする汎用アーキテクチャのおかげで、ソナー、レーダー、LiDARなどのセンサデータ向けに、簡単に再構成して対応することができるようになったという。また、デジタル化によりシミュレーションツールで予測されたとおりに正確かつ繰り返し動作することが可能だとimecでは説明している。

imecではドローンや自動車でのスマートかつ低電力な衝突防止システムでの活用を想定しており、特にドローンについては、レーダーセンサの近くで処理を行うことで、レーダーセンシングシステムが接近する物体をより迅速かつ正確に区別できるようになり、さまざまな危険な状況にドローンが瞬時に反応できるようになるとしている。また、AGVやロボット、ヘルスケアモニタリングなど、さまざまな用途にも適用ができるとしている。

なお、imecでは同チップについて、データからの学習を踏まえたパーソナライズされたAIを目指す低消費電力ニューラルネットワークを必要とするさまざまな分野の需要を満たすことができるようになる成果と説明している。