ソフトバンクグループは2月12日に、2020年3月期 第3四半期 決算を発表しました。2019年11月に開催した第2四半期 決算では「ボロボロでした」と反省しきりだった孫正義氏ですが、この日は「潮目が変わった」と、本来の”孫正義節”が戻っていました。プレゼンでは3つの観点から、潮目が変わったことを印象づけています。

○潮目が変わった3つの転機

折しも決算発表の前日、ソフトバンクグループ傘下のスプリントとTモバイルUSの合併について、米連邦地裁が容認する判決を出しました。孫氏は「神様も、粋なはからいをしました。昨日、この勝訴のニュースが入ってきた。いま大変うれしい状況です」と相好を崩します。

「これまで苦しかった。スプリントの事業には2兆円を投資してきました。現在の株価が3兆円台なので、投資した額に対して、それなりに充分な利益が出ている」と孫氏。アメリカ国民にとっても、大きなメリットがあるとアピールします。

具体的には、スプリントの革新的な5Gネットワークが利用できる、顧客獲得に優れたTモバイルと組むことで高品質で低価格なサービスが実現できる、全米で雇用を創出できる、と孫氏はメリットを挙げます。また、スプリントのほかにも「投資していたものの利益が出始めた。それらを含めて、潮目が変わったと申し上げた」と説明しました。

その最たるものが、ボロボロ決算の原因にもなっていたWeWorkです。黒字回復基調である、と明かしました。新たに5か年計画を策定し、世界トップレベルの不動産経営者であるサンディープ・マサラニ氏を最高経営責任者(CEO)に就任させるなど、目に見える形でも改善策を実施していると話します。

このほか、アリババやスプリント、ソフトバンクグループの成長により「(2019年9月末から)株主価値が5兆円増えた」と孫氏は胸を張ります。

「そもそも、ソフトバンクグループは投資を本業とする会社に業態が変わっています。企業の指標には『営業利益』と『株主価値』がありますが、ソフトバンクグループの経営は株主価値から見るべき」と孫氏。今後も株主価値の最大化に努める、と言葉に力を込めていました。

○質疑応答では社外取締役の柳井氏退任についても言及

質疑応答において、記者団から「潮目が変わった、ということは反省の時期は終わったということか」と聞かれると「日々、色んなことを反省をしております。でも萎縮はしていない。私のビジョン、戦略に一切のブレはありません。個人にも会社にも、体力というものがあります。余裕のあるとき、傷だらけのときと、さまざま。これからも積極的な経営を持続していきます」と話していました。

また、社外取締役のファーストリテイリング 柳井正氏が退任することについて「社外役員として、柳井さんには18年近く務めていただきました。本業に専念したいというご意向で退任される。柳井さんはいつも厳しい意見をおっしゃられ、我々も、それを良いプレッシャーとして受け止めてきた。貴重な存在だった。この10何年間の貢献に深く感謝しています。私もソフトバンクの経営をしていて、ほかの会社の社外役員までは手が回らない。そのあたりの思いは一緒。退任の意向を聞いて、返す言葉がなかった、というのが実態です。これからも大切な友人として、良きアドバイザーとして関係が続きます。社外役員の席があるなしに関わらず、ゴルフなどをしながら、今後とも叱咤激励していただきたい」と感謝の言葉を述べていました。

さらに、新型コロナウイルスの流行について情報改革でできることはないのか、という質問には「未知の新しいウイルスが出てきました。AIを使ってDNA解析しながら、いち早く正確に伝染病と戦っていくことが求められています。ソフトバンクグループでは、医学的な技術を開発・提供している会社にも投資をし始めている。あらゆる病気に対して、AIなどを利用して戦っていく。こちらの方面にも支援していきたい」と回答しました。