東京ビッグサイトで開催中の「第6回ウェアラブルEXPO」(会期:2月12日〜14日)では、さまざまなウェアラブル機器や関連デバイス、素材が出展されています。繊維大手の東洋紡は、フィルム状導電素材「COCOMI」を用いたスマートセンシングウェアを展示していました。

東洋紡は衣料向け繊維材料や機能樹脂などの事業を展開しています。今回出展したCOCOMIは、導電シートと絶縁シートからなるフィルム状導電素材。厚さは約0.3mmで伸縮性があり、ウェアラブルデバイスの電極や配線向けの素材として開発されました。同社は主にタンクトップやシャツなどの肌着にCOCOMIを使用しており、他社製品の各種センサーを組み合わせることで、心拍や呼吸、筋肉の活動といったさまざまな生体情報を計測できます。

これまで数年間にわたって実証実験を続けてきましたが、2020年からB to B向けに販売を開始する予定。想定する用途の一例としては、従業員の安全管理、健康管理を挙げています。

たとえば人が眠気を感じるとき、心音に特有の兆候がみられることがわかっています。スマートセンシングウェアを利用すれば、トラックやバスなどのドライバーの状態が変化したことを検知して、適切なタイミングで本人に注意喚起や休憩の指示を出すことが可能になります。また、熱中症の予防や、動物病院におけるペットの健康管理にも活用できるそうです。

東洋紡が展示していた衣類のサンプルでは、胸の部分にCOCOMIを組み込んでいました。説明員によれば、これは「心臓に近く、ノイズが少ない位置」だからと話していました。COCOMIを組み込む位置は顧客のニーズにあわせて変えることもできるそうです。会場で配布していたカタログには、メンズ向けのタンクトップやVネックショートスリーブ、スリーブレスシャツと、レディス向けのシームレスブラの4製品が記載されていました。

ブースではCOCOMIの技術を使ったゲーム型デモも行われていました。筋活動センサーを組み込んだリストバンドをコントローラーに用いており、両腕にバンドを装着し、画面の左右から迫る敵が照準の位置にきたところでタイミングよく腕に力を入れて攻撃し、スコアを獲得していきます。

COCOMIを組み込んだセンシングウェアは、残念ながら一般向けに展開する予定はないそうです。しかし、薄く伸縮性のある導電素材というCOCOMIの特徴は、センサーを別途用意しなければならない部分を差し引いても、センシングウェアのデザインに高い自由度をもたらしており、日常的に使えるセンシングウェアとして大きな可能性を秘めています。将来的には、普通に服を着て暮らすだけで、一日の終わりに健康状態のレポートが自動的に送られてくるということもあり得るのかもしれません。