前々回の「新型コロナウイルスで『ジアイーノ』が品切れ、空気清浄機の売れ筋」に引き続き、今回はヨドバシカメラ マルチメディアAkibaに双眼鏡の売れ筋を尋ねました。

同店では、双眼鏡の売れ筋がここ2〜3年で大きく変わったそう。カメラ専門チームの盛岡竜氏は「ライブ会場で使いたい、という方の需要が急速に伸びています。購入層は圧倒的に女性が多く、双眼鏡全体で見ても3人に2人は女性が買われている感触です」といいます。

ライブの需要以外にも、美術館や博物館で単眼鏡のように使える焦点距離の短いタイプや、スタジアムでのスポーツ観戦に向いた高倍率タイプ、キャンプなどで夜空を見る専用タイプなども人気があるとのこと。さまざまなニーズを内包したカテゴリーといえそうです。

新型コロナウイルスの猛威により、今はライブや観劇の中止が相次いでいます。ですが、生活が元に戻ったとき、特別なシーンでの楽しみを高めてくれる“目”の導入を検討するのも悪くないでしょう。下記の購入の三箇条を踏まえて、最近の売れ筋ベスト5を追っていきます。

入門機は21mm径で6〜8倍が一般的。レンズのコーティングで違いをチェックしたい
ライブ会場向けなら、8倍以上で軽さと品質のバランスが重要。防振モデルも人気
美術館巡りなら、倍率よりもピントが合う距離とレンズの明るさが重要。まずは用途で棲み分けを

※本文と写真で掲載している価格は、2020年2月20日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
○第1位:手ぶれ補正搭載の14倍モデル「VCスマート 14×30」

売れ筋トップとなっていたのは、圧倒的に指名買いが多いというケンコー・トキナーの「VCスマート 14×30」です。30mmレンズを採用した14倍モデルで、2軸の光学式手ブレ補正機構を搭載しているのが特徴です。重量は515g。税込み価格は5万3500円でした。

「ライブ向けは8〜10倍の製品が多いなか、この製品は14倍もあるので、かなり遠くからでも大きく見られます。高倍率だと手ぶれが激しくなりますが、そこを強力に抑えてくれますし、それでいて軽い。レンズコーティングにも注力していてキレイに見られるということで、本気でライブ通いする人が行き着く存在になっています」

○第2位:32mm径の8倍でも390g、「アトレックII HR8×32WP」

2位以降は、ビクセン製品が続きます。第2位には、8倍モデル「アトレックII HR8×32WP」が挙がりました。32mm径レンズを採用して重量を390gに抑えているところが、女性を中心に大きな支持を得ているそうです。税込み価格は2万800円。

「できる限りコンパクトで軽く、それでいてレンズ径が大きくて豊富な集光量と十分な倍率のあるモデルを求める人が多いです。そのニーズをハイレベルで満たしてくれるということで、こちらも定番ですね」

倍率10倍のバリエーションモデル「HR10×32WP」も人気ながら、比較的広角で見えるHR8×32WPのほうがより選ばれることが多いそうです。

○第3位:入門機からのステップアップの定番「アリーナスポーツ M8×25」

3位以降は売れ行きが団子状態で、順位が頻繁に変動するとのこと。取材時に3位となっていたのが、ビクセンの8倍モデル「アリーナスポーツ M8×25」。25mm径レンズを採用した290gの双眼鏡で、税込み価格は1万3820円となります。価格的にも、入門機の次にステップアップするモデルとして選ばれることが多いそう。

「最初は数千円のモデルから入る人が多いですが、より見応えのあるモデルをということでよく指名買いされます。『オーロラコート』という、散乱光を抑えてくっきり映すレンズコーティングを施しているのが強みですね。乗り換えたときの違いがしっかり体感できて、それなりに手の届きやすい価格帯なのが魅力といえます」

○第4位:美術館での観賞向けで定評のある「at4 M4×18」

4位は、ビクセンの4倍モデル「at4 M4×18」となります。こちらは、これまでのライブ向け需要とは異なり、美術館巡り向けで売れているとのこと。レンズ径は18mmで、重量は145g。約55cmの近距離でもピントが合う作りになっているのが特徴です。税込み価格は8,470円。

「絵画で筆のタッチを追ったり、刀の波紋や彫刻の仕上げなどのディテールを鑑賞したりするのに向いています。そうした用途には昔から単眼鏡が人気ですが、at4はそれを双眼でできるのが喜ばれています。比較的ご年配の方に買われていくことが多いですね」

○第5位:レンズコーティングの評価が高い入門機「アリーナ M8×21」

入門機は、ようやく5位に顔を出します。全体の売り上げでいえば入門機が多勢となるものの、人気が分散していてモデル単位では目立ちにくいとのこと。そのなかでも、ビクセンの8倍モデル「アリーナ M8×21」は比較検討ののちに選ばれることが多いといいます。レンズは21mm径で、重量は170g。税込み価格は6,160円となります。

「入門機は21mm径で6〜8倍が相場です。そのなかで差が出るのが、本体のコンパクトさとレンズコーティング。アリーナMシリーズは『マルチコート』という光の損失を抑えるコーティングで明るくシャープな像を映すので、店頭で比較して選ばれることが多いです。重量も170gで十分軽いですしね」

○はみ出し情報…キャンプで星空を見る人に人気の「SG2.1×42」

全体の売れ筋上位には入りにくいものの、キャンプなどでの星見用双眼鏡としては、ビクセンの「SG2.1×42」が熱烈に支持されているそうです。42mmの大口径レンズを採用した2.1倍モデルで、重量は410g。税込み価格は2万6130円でした。

「肉眼よりも集光量を増やせるので、きれいな星空では星雲が見られたりします。用途は限られますが、普通の双眼鏡より圧倒的に広い視野で楽しめるということで、アウトドア好きの方に高く評価されていますね」

著者プロフィール古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年〜)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007〜2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。