NECが1月15日に発売したビジネス向け14型ノートPC「VersaPro タイプVM」は、働き方改革でニーズの高まる「社内モバイル」を意識したモデル。フリーアドレス採用のオフィスや会議室への移動の多い環境に適した、さまざまな仕様が盛り込まれた製品になっています。

■試用機の主な仕様 [製品名] VersaPro タイプVM(型番:VKT16/M-6) [CPU] Intel Core i5-8265U(1.60GHz) [メモリ] 16GB PC4-19200(16GB×1) [グラフィックス] Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵) [ストレージ] 500GB HDD [光学ドライブ] なし [ディスプレイ] 14.0型液晶、ノングレア、1,920×1,080ドット [OS] Windows 10 Pro 64bit版 [バッテリー駆動時間] 約8.7〜10.1時間 [本体サイズ・重さ] 約W326.8×D226.0×H19.4mm・約1.48kg [希望小売価格(税別)] 206,500円〜

12.5型、13.3型、15.6型の3モデルだったラインナップに、新たに14.0型モデル「VersaPro タイプVM」が追加になりました。それぞれの位置づけは、軽量コンパクトな12.5型と13.3型が外へ持ち出すモバイル重視、15.6型がオフィスデスクに据え置いて使う性能や画面サイズ重視。そして14.0型は、フリーアドレスのオフィスや、移動が頻繁に生じるオフィスで使いやすい「社内モバイル」向けです。

○社内のどこでもストレスなく使える

14.0型VersaPro タイプVMでは、CPUがIntel Core i5-8265U(1.60GHz)かIntel Core i3-8145U(2.10GHz)の2モデルを用意。今回の試用機はCore i5-8250Uでしたが、文書作成や表計算、プレゼン資料作りといったビジネス用途という点で、多少サイズの大きなドキュメントでもキビキビ利用できました。

OSはWindows 10 Pro 64bit版、MS Officeは「Professional 2019」「Home & Business 2019」「Personal 2019」から選べます。

本体のフットプリントはA4ファイルとほぼ同等で、重さは1.48kg。片手で資料と一緒に脇に抱えてサッと移動できるサイズ感です。ビジネスバッグにもつっかえることなくスッと入ります。外回りなどで一日中持ち歩いて使うなら、もう少し軽いノートPCが欲しくなりそうですが、テレワークでオフィスと自宅を往復する程度であれば、大きな問題はないでしょう(歩く距離や荷物全部の重さにもよりますが……)。

外観はビジネスPCらしい質素な作りで、マットな質感の天板に唯一のアクセントであるNECの刻印がさりげなく入っています。無骨で没個性的ともいえますが、会社のロゴや懇意のクライアントのステッカーなどを貼るとよさそうです。ただ、特に会社から支給されるPCでは、こうした装飾を禁止している企業もあるので注意してください。

本体右側面には、ビジネス向けらしくGigabit Ethernetの有線LANポートを備えています。コネクタが下に出っ張るデザインですが、ゴム足よりは低くなっており、デスクに置いたとき、かすかに隙間ができるようになっています。無線LANはIEEE802.11ac/a/b/g/nに準拠、BTOでBluetooth 5.0も選べます。

フルサイズのSD(SDHC/SDXC)メモリーカードスロットを搭載している点は、選択のポイントになる人も多いのではないでしょうか。

14.0型の液晶ディスプレイは、ナローベゼルですっきりしており、解像度は1,920×1,080ドットのフルHD。手持ちの13.3型ノートPCと比べてみましたが、13.3型よりも文字が大きく表示されるため、画面サイズの数字上は少しの差とはいえ、見やすさは14型のほうがずっと上です。

画面はノングレア(非光沢)なので、外光の反射が気になりません。光沢画面よりも目が疲れにくいとされており、文書作成やExcelのシートと長時間にらめっこする業務に適しています。反面、写真や映像はツヤの乏しい印象です。視野角は思っていたより狭く、色味が必要な業務では少々もの足りなさを覚えそうです。2〜3人で周囲からのぞき込んだときも、色合いや濃淡はけっこう失われます。

○クセが少ない分、慣れやすいキーボード

キーボードはJIS標準配列の日本語85キーで、テンキーは独立していません。キーピッチが19.4mmと広く、キーストロークは1.4mmでやや浅めです。打鍵感は、個人的には上々。打鍵音も静かでクセが少ない分だけ慣れやすく、長時間使っても疲れにくそうだと感じました。

キー配列に関しては、左下のFnキーとCtrlキーは好みが分かれるところ。左下はCtrlキーがいい!という人は、BIOS設定でFnキーとCtrlキーのアサインを入れ替えておくとよいでしょう。ただ、会社主導で導入したマシンを貸与されている場合は、BIOS設定が禁止になっていることがあるかもしれません。

タッチパッドは「Fn」+「スペース」キーで有効と無効をダイレクトに切り替えられます。文書を作るときなどキー入力に集中したい場合、タッチパッドを無効化することで誤操作を防ぎ、生産性の向上につながるでしょう。

マウスを常用するなら、タッチパッドは常に無効でもいいかもしれません。「Fn」+「スペース」キーは覚えやすいシンプルな割り当てなので、試していて「これはいい」と感じたポイントでした。

キーボード上部のボックス型ステレオスピーカー(2W×2)は、スポンジ状の緩衝材で包むように搭載されており、音漏れやビビリを防止します。例えばビデオ会議のとき、話者の声がクリアに聞き取れます。「ビデオ会議を想定したサウンド」も、14.0型VersaPro タイプVMが注力している部分です。

インタフェース類は本体の右側面と左側面に配置され、前面と背面には何もありません。最近では少なくなりましたが、ノートPCの背面に電源コネクタなどよく使うインタフェースがあると、特にデスクの奥行きが狭いと取り回しづらくなります。移動を伴うノートPCとしては、インタフェース類は左右側面だけのほうが使いやすいでしょう。

○普通にモバイルPCとして外に持ち出せる重さ

バッテリー駆動時間は約8.7時間〜10.1時間となります。社内モバイルであれば、ACアダプターは自分の席に置いて、PC本体だけを持って会議室などに移動しても不安はありません。

自宅に持ち帰る場合にはACアダプターも一緒に持っていくと安心。ACアダプターと電源コードの重さは294g、本体と合わせた実測値は1.781kgです。

何日か、普段利用しているカバンに入れて近所の喫茶店に持っていって使ってみました。ACアダプターを含めても2kg未満と、筆者がいつも取材・執筆用で持ち歩いているノートPCよりちょっと重い程度だったので、モバイルPCとしても普通に利用できました。

○画面越しのミーティングが多い現場にオススメ

試用中ぜひ試したかったのが、Webミーティング機能。ヤマハと共同開発したという音声処理機能「AudioEngine」を使って、ネットワーク会議などの声を聞き取りやすくするものです。

スタートメニューの[PC設定ツール]-[YAMAHAサウンド]から、「パーソナル」「マルチユーザー」「OFF」の3モードを選びます。パーソナルかマルチユーザーにすると、人の声に合わせた周波数調整によって声のボリュームを上げて強調し、周囲の雑音はノイズリダクションで取り除きます。

パーソナルはPCを1人で使っているときに、話者の声を画面の前方に集中して響かせるモードです。

マルチユーザーは音声がPC本体を中心に、周囲に対してほぼ均等の大きさで聞こえるようにするモード。複数人でミーティングするとき、このPCを中心に据えれば、参加者全員が同じように聞こえるわけです。OFFはAudioEngineを使わない通常の再生となります。パーソナルやマルチユーザーの聞きやすさに慣れると、OFFすると雑音がことさら目立ちました。

Webミーティング機能は、リアルタイムのネットワーク会議だけでなく、録音した音声にも適用できます。インタビューの文字起こしにも使ってみましたが、周囲の高い音や低い音はかなりカットされ、くぐもった声もクリアになって、大変聞き取りやすくなって作業がはかどりました。

14.0型VersaPro タイプVMのWebミーティング機能の詳細は、NECのWebサイトに掲載されています。マルチユーザーモードの説明も動画だとよくわかります。

このほか、BTOで顔認証AIエンジンを採用したPCセキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor」も選択可能。キーボードからパスワードを入力しなくても、カメラの前に座るだけですぐにサインインできます。この顔認証技術はかなりスグレモノで、マスクを着用したままでも認証が可能です(要バージョンアップ)。

14.0型VersaPro タイプVMは、スペックを見ただけでは特徴的なところが少なく見えますが、実際に触れてみるとバランスよく作り込まれています。よほど尖った業務でなければ、ソツなくこなしてくれる機能と性能といえるでしょう。特にWebミーティング機能は使いやすく、画面越しの会議が多い現場にはオススメです。