どこでもサイエンス 第168回 科学が世界を救う、Dr.STONEはいいぞ!(少年マンガ・アニメ)

どこでもサイエンス 第168回 科学が世界を救う、Dr.STONEはいいぞ!(少年マンガ・アニメ)

このところ、少年マンガ・アニメの「Dr.STONE」にハマっております。

科学オタクの少年、石神千空が、人間と燕だけが突如石化し、3700年たった地球(ストーン・ワールド)で、科学をゼロから再興し、人類70億人の科学文明を復活させようと奮闘する物語です。2017年から週刊少年ジャンプで連載、まごうことなく「努力|個性・友情・勝利」なジャンプの世界であり、かつ人類を救うキーとなる科学が実に唆(そそ)るのでございます。

Dr.STONEは、アニメ化もされTOKYO MXテレビやBS11、Amazon Primeなどで見られますし、マンガを読んだほうが面白いに決まっているのですが、ここでは私にとって何がいいぞなのか、お知らせする次第です。できっかな。
○ここがいいぞ〜 - ワクワクする謎設定、ストーン・ワールド

Dr.STONEは、突如地球上の人類と燕だけが一斉に石になってしまった地球(ストーン・ワールド)が舞台です。謎の緑の光が地球を覆い、それによって一瞬にしてその場で石になった人類。運転手を失った飛行機は墜落し、車はそのまま衝突、文明は一瞬にして崩壊します。

が、なぜか石になった人類は死なず、宇宙ロケットも自作する科学オタク高校生の主人公、石神千空は3700年後に石化が解け、まずは一人で生き延び、科学文明と人類を再興するのを始めるのですな。千空は、石化を人工的に解く薬品を、半年後に石化が自然に解けた体力自慢の親友、大木大樹とともに製作します。そして…というのが物語の端緒です。

さて、このファンタジーなストーン・ワールドの出現が、この世界のルールになります。地上全部を覆うルールで基本逃げ場がありません。が、なぜそんなことがおこったのか、また自然現象か、人類か宇宙人の仕業なのか、だとしたら目的は? 連載中の現在はまだ全くの謎として進行しています。
○ここがいいぞ〜 - 本当の科学で世界を救う。謎はストーン・ワールドだけ

Dr.STONEは、ストーン・ワールド以外は本当にある科学で問題を解決していきます。もちろん原始時代に戻っているようなものですから、いきなりコンピュータが登場したりはしません。だいたい100年前くらいまでの科学が登場する感じです。

火、ヒモ、布、石鹸、火薬、磁石、滑車、車輪、鉄、ガラス、硫酸や炭酸カルシウム、ガソリンなどの化学物質、電気などです。このレベルならば、個人が実験室で発明したり、自然界で発見したものばかりですね。もちろん主人公の千空はそれらの作り方を知っています。ただ材料が入手できないし、それを製造する道具がないので、これら材料をどうゲットし、製造するかが物語の小さな山になっています。

そこに、別の形でストーン・ワールドを生きていた、石を集めため込んでいた少年クロムと出会うという少しのチートがあるのですが、それもまあ設定からありかなというところ。これはマンガを読んで頂ければと思います。
○ここがいいぞ〜 - 名言! そうだ、ルールの発見こそがが科学のおもしろさだよ!

千空は、子供の頃、養父の百夜が愛車を売ってプレゼントしてくれた実験道具や本で、科学に夢中になって取り組みます。その過程で、科学の知識だけでなく高校生にして、科学の本質、おもしろさを知り尽くしており、名言をたくさん言っています。

「『科学ではわからないこともある』じゃねえ。」
「わからねえことにルールを探す そのクッソ地道な努力を」
「科学って呼んでるだけだ……!!」

これは2話に出てくることで、石化を解くための方法を何十回も試して探るときのセリフです。もう一人自然復活をした大樹に対して言った言葉です。

この「ルールを探す」というのはまさしくその通りで、科学者はルール=法則を見つけるのが楽しくてしょうがないのですね。そして、例え小さくとも、人類の誰も知らない新法則を見つけられる人が科学者と認められるのです。

なお、法則を発見したときの高揚については、人類で最初に、恒星の発光のエネルギー源を説明したハウターマンの話を思い出しますねー。こちらの先生が詳しく書かれています、

また、関連して3700年後に千空と大樹があいついで復活したことについて、こんなことも言っています。「偶然には必ず! 合理的な理由がある!!」

そして、「世界を取り戻してやる!」「石化や復活の原理も科学的に突き止めてーーー」、「唆(そそ)るぜこれは!」

千空はたびたび「唆るぜ」と言います、超困難を目の前にして、どうしようかという時に。それを唆るという。未知を前に興奮する。これはもう骨の髄から科学者です。
○ここがいいぞ〜 - 名言! そうだ、科学は平等を作るんだ!

「科学は全ての者を 平等にする!!」

速く走れる、体力がある、病気に強い…逆に、足が動かない、目が悪い、病気にかかっている。様々な人がいます。そして、原始時代、ストーン・ワールドはまさにそうで、それが全てでした。

しかし、科学の成果は、乗り物を作り、重いものを動かすテコや滑車を作り、薬やメガネを作ることで、こうした不平等を解消するものです。また、科学はルールを見つけることなので、これは誰がやっても同じことができる。

「どんだけ遠くに見えようがな、再現性(ルール)をたぐれば100億%ゴールに着く」
「それが科学だ…!!!」

科学が見つけたルールは全てを平等にする。それは、まさに科学が客観的なものから生まれる本質を射抜いていると言えます。もちろん高価な薬は買えないと言った不平等はあるわけですが、それは経済や政治の仕組みで解決できるわけです。

そうだよ、その通りとひざを叩きましたよ。
○ここがいいぞ〜 - やはり王道のおもしろさ 努力|個性!友情!勝利!

週刊少年ジャンプは、50年も前に創刊されたときに、読者の少年たちにも聞いて、努力、友情、勝利というキャッチフレーズをつけました。ジャンプの漫画だと、例えばワンピースとか、ドラゴンボールなどがお馴染みですが、いずれも、主人公が努力し、戦い、仲間との友情を重ねて勝利していくというのがおもしろいわけですな。
過去・現在を交えたジャンプ編集者たちの座談会など見ますと、最近は主人公が努力しないで、どっちかというと個性かなということが出ています。

Dr.STONEでは、主人公の千空や仲間たちが猛烈な努力をするシーンが時々出てきますが、確かに「個性」が組み合わさって、物語が進んでいきます。

最初に千空と大樹、たった二人から始まる物語では

「頭を使うことは千空 お前に任せる!」
「体を使うことは」「俺に任せろ!」

とあります。

頭脳と体力が両方同じ人になくても良い。それぞれの得意を出し合って、問題を解決していく。不得意な部分は他人を頼る。そして感謝する。応える。それが、全編に渡って貫かれています。力が強い、素早い、小さい、大きい、口が上手い、そして科学を知っている。いろいろな得意が組み合わさっていきます。

こんな解説は、まあどこでもサイエンスっぽくはないかもしれませんし、正直偉そうになっちゃうのでイマイチなんですが。まあ分業は、人間社会の基本であり、そしたがって人間がやる科学の基本でもあるのですね。

さらに、科学は積み重ねです。これはその場ではなく、歴史的な分業といえますね。 

ニュートンが使った有名な言葉「巨人の肩に乗って」というのがあります(私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです)。遠くを見通せる万有引力の法則を見つけたニュートンは、自分だけではなく、先人の知見の助けがあったから、自分はこれがやれていると言っているんですね。

王道の少年マンガにして、ユニークなサバイバル科学マンガ「Dr.STONE」。マンガもアニメも、ちょっとしたクライマックスです。アニメも第2クールに入ったばかり。マンガも十数巻なので余裕で追いつきます。

サイエンスが好きなら、ぜひ手にとってみてくださいませ。ハマリますよー!

Dr.STONEはいいぞ!!

著者プロフィール
東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。


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