広報紀の川(和歌山県紀の川市)

令和2年11月号

●県を代表する芸術家
美術展などが多く開催されることから、秋は芸術の季節といわれています。今回は、市出身で和歌山県を代表する芸術家、保田龍門を紹介します。

保田龍門は、明治24年に那賀郡龍門村に5人きょうだいの末っ子として生まれ、本名を重右衛門といいます。重右衛門は粉河中学校を卒業後、明治45年に東京美術学校西洋画科に入学。画家の登竜門のひとつである文部省美術展覧会の特選受賞や二科展に入賞するなど、頭角を現します。重右衛門は、この頃から故郷にちなみ、「龍門」と名乗るようになったそうです。

大正9~12年には、欧米に渡って彫刻を学びます。南フランスで出会った彫刻家が創る、女性のおおらかな裸体像を追求した作品は、龍門が終生追い求めた母性愛のテーマに影響を与えました。当時の海外への渡航は大変なことです。龍門の姉の孫で、西脇在住のJ.Nさん(64)は「よく祖母から、甥と姪の名付け親を頼まれた龍門が、当時では珍しい欧米風の名前を付けたという話を聞きました。龍門の兄も渡米していることもあり、欧米への思いが強かったんでしょうね」と話してくれました。

帰国後、東京で制作活動をしていた龍門は、大正14年に龍門村に活動拠点を移しました。粉河中学校で教師をしたほか、昭和10年には大阪に転居し、大阪市立美術研究所や和歌山大学で後進の指導を行い、関西の美術界に大きな影響を与え、昭和40年に73歳で亡くなりました。

●芸術を感じる
市では、保田龍門の絵画19点、彫刻3点を所蔵しています。これらは旧粉河町が、町出身の偉大な芸術家の作品を将来に残しつつ、町民に芸術への親しみや関心を持ってもらおうと、昭和63年から平成9年にかけて購入(1点は寄贈)したものです。

これらの作品は現在、公民館へ行こらフェアの企画「保田龍門作品展」として粉河ふるさとセンターで公開しています。近代日本の洋画・彫刻の道を真摯に探究し続け、日本とヨーロッパとの普遍的な造形を求めた芸術家、保田龍門の作品を鑑賞し、芸術の秋を感じてみませんか。
(参考:和歌山県文化情報アーカイブ「保田龍門」)

【公民館へ行こらフェア】
◆保田龍門作品展
日時:12月13日(日)まで
場所:粉河ふるさとセンター小ホールロビー・展示スペース
内容:保田龍門氏の作品を展示中。保田氏の作品や功績を知ることができます。

▽風景作品
日時:11月4日(水)~22日(日)

▽彫塑・レリーフ作品など
日時:11月24日(火)~12月13日(日)

◆講演会
日時:12月12日(土)午後2時~
場所:粉河ふるさとセンター2階視聴覚室
講師:井上芳子氏(和歌山県立近代美術館学芸課長)
テーマ:「保田龍門の芸術について」
定員:40人(先着順)
申し込み:12月8日までに粉河ふるさとセンターに電話で申し込み。
【電話】0736-77-3312