広報あぶ(山口県阿武郡阿武町)

令和2年10月号

■地元学とは
人が元気になる・自然が元気になる・経済が元気になる」ためのアプローチ方法。「地域のことをみんなで知れば、新しい何かが見つかる」という考え方に基づいて、「参加型のまちづくり」をめざし、実現するための実践です。

■阿武町×島根県立大学
今回、阿武町で「地元学」を実践するにあたり、宇生賀中央自治会、宇田浦自治会のみなさんに、ご参加・ご協力をいただきました。
専門家として町の地方創生に携わる「持続可能な地域社会総合研究所」の藤山浩(ふじやまこう)所長(社会政策学者・博士)と、島根県立大学総合政策学部・豊田知世(とよたともよ)准教授の指導の下、大学生たちが現地を巡って聞き取り調査を行い、掘り起こした「地元の宝」について大きな模造紙に「絵地図」を描いて、地元の方たちに伝えました。

▽”宇生賀一円”誇り高き伝承
四つ葉サークルの特産品「おからもち」の紹介
地元の女性たちは豆腐づくりなどでも活躍している

■宇生賀編 9/19・20
宇生賀の地元学では、
(1)「田んぼと米生産」
(2)「大豆と豆腐」
(3)「水資源と循環」
(4)「地域の歴史」
(5)「潤いと彩りの暮らし」
という5つのテーマで調査しました。

学生たちは、最先端の「スマート農業」に驚き、元は「沼」だった宇生賀盆地を田畑として開拓するまでの歴史秘話や、地元の女性グループ・「四つ葉サークル」の活躍などに関心を抱き、感動していました。
実施された2日間の昼食は、福賀で料理の仕出しをされている」さんと、農事組合法人「福の里」女性部のみなさんの手作り弁当が用意され、地元の優しさ・美味しさが詰まった食材を堪能できました。
地元の方たちのお話からは、「宇生賀一円」という言葉への「誇り」が感じられました。

元々、宇生賀はあまり「条件の良い土地」ではなかったために、何度もほ場整備や排水工事が繰り返された上、数々の「難題」を、地域全体で乗り越えてきたという歴史があります。
「まさに宇生賀一円。伊豆・三和・上万・黒川の4集落それぞれが団結して、営んできた努力によって、宇生賀の今の姿がある」。
そんな地元の方たちのふるさとへの強い想いがあふれていました。

■宇田浦編 9/22
宇田浦の地元学では、
(1)「漁業の歴史」
(2)「魚市場」
(3)「神社と祭り」
(4)「旧・金子酒店と大敷会館」
(5)「海と港のある暮らし」
のテーマで調査しました。

学生たちは、朝、港で宇田郷定置網の水揚げの様子を見学。漁師さんたちの手で、勢いよく仕分けられていく魚に学生たちは、驚くばかり!
宇田浦自治会の女性たちが作ってくれたお昼ご飯には、その日、水揚げされたばかりのヒラマサのお刺身と、マグロのたたきが並び、学生たちは、海の幸に舌鼓を打ちました。

現地調査では、歴史も行事も、すべての営みに、地元の「豊かな海」が関わっていることが、わかりました。
海の地形や、獲れる海産物の変化とともに、人々の生活も変わってきたようです。
まさしく、「海に寄り添って生きている暮らし」であると感じました。

ある漁師さんは、「昔とくらべると海の様子はずいぶん変わったけれど、ある魚がいなくなったら獲る魚種を変えてきた。
知恵と知識とセンスで波を乗り越えてきた。
明日のためというより、今を生きていくために精一杯の努力をして、日々を過ごしている」と、学生たちに話しました。

地元の方たちからは、「もっと深く知ってほしいことがたくさんある」との声が上がり、「後世に宇田浦の歴史ある文化、伝統、技術を正しく伝え、残したい」という意見も。
ふるさとの海、そして地元・宇田浦への深い「愛」が伝わってきました。

・宇田浦の歴史ある古民家「旧・金子酒店」地元の方の案内で、建物にまつわる記憶を探る

▽“海に寄り添う”叡智ある営み
バーナーであぶって風味を引き出す「漁師流」獲れたての魚を目の前でさばいてくれた

地元学調査は「まちの縁側推進プロジェクト」の一環として行われました。来年の秋、道の駅阿武町の隣にオープンするキャンプ場(滞在型交流拠点施設)では、阿武町の暮らしが学べる「体験プログラム」を提供する予定です。地元学で発見した地域の魅力を観光のコンテンツとして提供することで、「縁側でゆっくりお茶を飲むように、阿武町のそれぞれの地区に滞在」してもらえるような、魅力あるプロジェクトづくりをめざしています。

11月23日(月・祝)には、奈古浦での地元学調査を予定しています。
「地元学」の調査結果は阿武町役場Webサイトでも写真付きで紹介しています
記者:阿武町地域おこし協力隊 田代(たしろ)ゆか・浅井一輝(あさいかずき)・元永智絵(もとながちえ)
問合せ先
まちづくり推進課
電話
08388-2-3111