伊那公共職業安定所が6月30日に発表した上伊那地方の5月の有効求人倍率は、前月比0.25ポイント減の0.83倍となり、2015年5月の0.96倍以来5年ぶりに1倍を割り込んだ。下落幅が0.20ポイント以上となったのはリーマン・ショック後の09年1月以来で、新型コロナウイルス感染症の影響が如実に表れる格好となった。同職安は雇用情勢について、「求人が大幅に減少しており、弱い動きとなっている」と判断した。

 求人倍率は5カ月連続で低下していて、0.8倍台にまで落ち込むのは14年6月の0.89倍以来、5年11カ月ぶり。県内12職業安定所別でみると、伊那は2番目の低さ。「他地域に比べ、(受注が減少している)製造業に関わる労働者が多く、さらに派遣や請け負いで働く人が多い。そうした地域性が反映されているのでは」と同職安。月間有効求人数は前月比23.3%減の2274人となり、同0.1%減の2743人だった月間有効求職者数を下回った。

 新規求人数は前年同月比59.1%減の618人で、3月の1227人から一気に半減した。600人台にまで落ち込むのは10年5月の695人以来、10年ぶりとなる。主力の製造業が69.3%減の111人だったのをはじめ、建設業や宿泊業・飲食サービス業など、すべての産業で前年同月を下回った。新規求職者数は5.3%減の656人。1件当たり10人以上の人員整理を把握したのは人材派遣業1社分47人で、派遣先の製造業者が雇い止めを行ったとされる。

 同職安の綿貫昭二所長は求人倍率の今後の見通しについて、「6月に入り求人数が増えてきている。現場感覚としては、5月で底止まりしたのではないか」とみている。