長崎県の佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)の専攻科複合工学専攻2年の荒木裕太さん(22)は、プラズマ技術を用いて、ミカンを腐敗させる原因の一つ、ミドリカビを殺菌する装置を開発した。研究が評価され、これまでに学会の全国大会などで3度入賞。注目を集めている。
 国内では、収穫後の農産物に腐敗を抑える目的で農薬を使うことを禁止している。しかし有効な殺菌方法は確立されておらず、県内では収穫したミカンの約1割がカビなどの理由で出荷できないという。
 荒木さんは空気をプラズマ化した技術を使えば、収穫後でも殺菌できることに注目。2018年からミカンにプラズマを照射する研究を始めた。10秒の照射で99%以上のミドリカビを殺菌できることが分かった。また、先行研究で開発されていた平面の電極と比べ、処理面積を約2倍にするシリコン素材の導線を用いた新たな電極を考案。効率を高めた。
 19年には、市内のミカン農家を訪ね「一度に大量のミカンを殺菌できる装置を作ってほしい」といった現場のニーズを確認。既存の選果機に、考案した装置を取り付けることを想定し、農家に取り入れてもらいやすくする。
 これまでの研究が評価され、19年に「社会実装教育フォーラム」で社会実装賞と安川電機賞、「第37回電気設備学会全国大会」で優秀発表賞を受賞。指導教員の柳生義人准教授は「同じテーマで何度も受賞するのは珍しい。社会のニーズに応えようとしており、注目されている」としている。
 この春に卒業を予定している荒木さんは「実用化には至らなかったが、研究を後輩に引き継ぐ。卒業までに、腐敗を防ぐための詳細な条件を明らかにしたい」と話した。