「中止にならずに良かった」。東京五輪・パラリンピックの1年程度延期が決まり一夜明けた25日、本県ゆかりの出場予定選手や地元の関係者からは安堵(あんど)の声が聞かれた。だが購入済みチケットや聖火リレーへの対応は確定しておらず、今後の推移から目が離せない状況がしばらく続きそうだ。
 東京五輪は全世界で約1万1千の出場枠のうち、既に約6割が決まっている。県勢も柔道男子81キロ級の永瀬貴規(26)=旭化成、長崎市出身=、カヌー・スプリント男子の水本圭治(31)=チョープロ、岩手県出身=、ライフル射撃男子の松本崇志(36)=自衛隊、島原市出身=が代表権を勝ち取っていた。
 2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの永瀬は、ずっと「東京で金」を掲げ続けてきた。全日本柔道連盟を通じて「開催が延期になっても、志す目標に変わりはないので、日々の稽古にまい進するのみ。新型コロナウイルスのまん延がいち早く終息し、すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを出せる環境で、東京五輪が開催されることを願いたい」とコメントした。
 水本と松本の2人は、08年北京五輪から数えて4度目の挑戦でつかんだ代表切符だった。水本は「いつも応援してくれる方々の前で戦いたかったので、延期という形でも開催してもらえてホッとしている。自分たちは通常通りに練習を積めていて、調子も上々。延期となった期間で、また上げられるところまで上げていきたい」と前向きに捉えていた。
 松本の母、みきさん(65)は「感染の不安がある中で競技しても楽しめない。延期になって良かった。今後はどういうふうになるのか分からない部分もあるが、崇志はより一層強くなってくれると信じている」と期待を込めた。
 ライフル射撃男子で1976年のモントリオール五輪を皮切りに、選手、監督、コーチとして五輪に5度出場した南島原市出身の松尾薫さん(68)は、東西冷戦下に日本がボイコットした80年モスクワ五輪の「幻の代表」でもあった。オリンピアン、指導者の立場から「プラス思考で捉えるしかない。競技によって選手選考のやり直しもあるかもしれないが、気持ちがなえたら終わり。自らをもう一度奮い立たせて、基本に忠実に積み上げていってほしい」とエールを送った。