去年開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」に対する補助金をめぐる問題で、文化庁は23日、「全額不交付」とした決定を一転、減額して交付すると発表しました。
 
 異例の見直しの理由とは…

あいちトリエンナーレ(去年8月)

「あいちトリエンナーレにおける国際現代美術展開催事業につきまして、文化庁の文化資源活用推進事業の補助金に関し交付決定することとしました」(文化庁地域文化創生本部 三木忠一事務局長)

 23日行われた文化庁の会見。「あいちトリエンナーレ」に対する補助金について約6700万円に減額して交付すると発表しました。

「表現の不自由展」の中止後、突如 全額不交付に

「表現の不自由展・その後」(去年8月)

 しかし、あいちトリエンナーレを巡っては…

「あいちトリエンナーレの補助金について審査の結果、交付しないことを決定した」(萩生田光一文部科学大臣 去年9月)
 
 企画展の1つ「表現の不自由展・その後」が、慰安婦を表現した少女像や昭和天皇を扱った作品などに抗議が殺到して一時中止に。

「不交付」決定について話す萩生田文科大臣(去年9月)

 文化庁は、約7800万円の補助金をいったんは決めていましたが、愛知県側が「会場の安全などを脅かすような重大な事実を認識しながら申告しなかった」などと、「手続き上の不備」を理由に、全額交付しないとする“異例”の決定を下しました。

愛知県は不服申し立てを19日に取り下げ

大村知事は裁判も辞さない構えだったが…(去年9月)

「憲法21条の表現の自由を最大の争点として、今回、速やかに法的措置・裁判でもって文部科学省の見解をしっかり正していきたい」(愛知県 大村秀章知事 去年9月 不交付決定を受けての会見)

 文化庁の決定に対し、愛知県側は不服を申し立てましたが、3月19日に取り下げたということです。

愛知県が遺憾を表明し、減額して再申請

交付に至った経緯について説明する文化庁の担当者(23日)

「申告しなかったことは遺憾であり今後はこれまで以上に連絡を密にすると」「安全や事業の円滑な運営にかかる懸念に関連する経費などを減額する旨の申し出がなされました」(文化庁地域文化創生本部 三木忠一事務局長 23日)

 文化庁によりますと、愛知県側は「手続き上の不備」に遺憾を示して改善を表明し、再開にかかった会場の警備費などを差し引いて補助金を改めて申請をしたことから、約6700万円に減額して交付することを決めたということです。

知事「感想は特にありません」

交付決定を受けて大村知事は…(23日)

“異例の決定見直し”に、大村知事は…

「感想は特にありません」「愛知県及び文化庁・文科省とで協議して、話は折り合ったということでございます」(愛知県 大村秀章知事 23日)

補助金審査の委員は「文化庁のメンツを保ったままの手打ち」

野田教授は「不交付を撤回するとは思っていなかった」

 当時、補助金採択を審査した委員の1人、鳥取大学の野田邦弘教授は「文化庁が不交付決定を撤回するとは思っていなかった。 減額は大人の対応で、文化庁のメンツを保ったままの手打ちだと思う」と指摘しています。

津田大介氏は「交付は喜ばしいが…」

あいちトリエンナーレ芸術監督を務めた津田大介氏

 一方、芸術監督を務めた津田大介さんは…

「本来交付されるべきものが交付されたのは喜ばしいが、減額されているなど納得いかない部分もある」「一度不交付にしたものを交付した理由を文化庁はしっかりと説明する必要がある」

参加アーティストら「引き続き説明求める」

文化庁の前で不交付撤回を求め抗議(去年11月)

 また、全額不交付の撤回を求め10万筆を超える署名を集めた芸術祭参加アーティストらによるグループ「ReFreedom_Aichi」(リフリーダム アイチ)は「求めていた全額再交付という形ではないものの、その大半が再交付された事については一定の評価をしています」「減額の理由や一連の経緯について引き続き文化庁に説明を求めていく」「文化庁にはこの件を歴史的な汚点として、決して忘れずにいていただきたい」などとコメントしています。

市の検証員会の結論は27日にも

 「あいちトリエンナーレ」をめぐっては、名古屋市も約1億7000万円の費用を負担することになっていました。支払いの是非については、法律や美術の有識者で作る独自の検証委員会で議論しています。

 河村たかし市長は23日の文化庁の決定を受け「市の対応は検証委員会の意見を踏まえ判断してまいりたい」などとコメントを出しました。

 名古屋市の検証委員会は、3月27日に結論を出す見通しです。

(3月24日 15:46〜放送 メ〜テレ『アップ!』より)