いまだに被害が後を絶たないあおり運転。
 6月30日から、法改正によって厳罰化されます。
 あおり運転の被害者を取材すると、事故に繋がりかねない危険性だけでなく、心の傷を負っている実態が見えてきました。

ドライブレコーダーの映像(愛知県警提供)

 愛知県一宮市の名神高速から名古屋高速へと走る乗用車のドライブレコーダーの映像。

 突如、目の前に白い車が…。

 料金所を通過しようとしたところ、急ブレーキをかけます。
 さらに、進路を妨害し、蛇行運転を繰り返します。


ドライブレコーダーの映像(愛知県警提供)

 何か投げ捨てている様子も…。

 5月13日に、乗用車にあおり運転を繰り返した「暴行」の疑いで、名古屋市緑区の建設会社社長・星崎昭吾容疑者(45)が逮捕されました。

 星崎容疑者は、おおむね容疑を認め、「交通トラブルで腹が立った」などと供述しているということです。

子どもが乗る車に、トラックが…

被害者の車から撮影された映像(視聴者提供)

 2018年12月、愛知県西尾市に住む20代の男性は、家族と買い物に行く途中、後ろを走るトラックから、クラクションや幅寄せを繰り返しされました。

 いわゆるあおり運転です。

 国道23号を走る車の中から撮影された映像には、子どもたちも乗る車に、トラックがクラクションを鳴らしながら迫ってくる様子が捉えられていました。

「後ろからトラックにクラクションを鳴らされて、後ろにつかれて、左右にあおり運転をされたり、リズミカルにクラクションを鳴らされた。半分遊ばれているような感じで、あおり運転を受けていた」(20代男性)

約2kmの間続いた

 愛知県知立市から刈谷市までの、約2kmの間続いたといいます。

「嫁と子どもが乗っていたので、何かあったらどうしようという感じ。一緒に乗っていた嫁がかなり恐怖を感じたみたいで、『死ぬかと思った』と言っていた」(20代男性)

 警察は、あおり運転を繰り返し男性らを怖がらせたとして、2019年1月、50代のトラック運転手の男を暴行の疑いで逮捕しました。

 その後、男には、略式命令で罰金10万円が言い渡されました。

あおり運転の摘発数は…

愛知県警への取材により作成

 被害者を恐怖に陥れるだけでなく、大きな事故にも繋がり兼ねないあおり運転は、決して減ってるわけではありません。

 愛知県で、2015年摘発された件数は5075件。
 その後も横ばいで推移し、2020年はすでに3623件となっています。

6月30日から厳罰化

6月30日から厳罰化

 実はあおり運転には、これまで明確な定義はなく、直接取り締まる法律もありませんでした。
 
 そこで、6月30日から道路交通法の一部が改正され、新たに「妨害運転罪」が適用されることになります。

 急な割り込みや不必要なクラクション・急ブレーキ、無理な幅寄せなど10の行為が、あおり運転に当たると定められました。

 違反すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と罰則が強化され、1回の違反で免許取り消しの対象となります。

 被害者も、厳罰化であおり運転が減ることを望んでいます。

「1人でも多くの人に、あおり運転をすることで厳しい罰となることを知ってもらえれば、減るのかなと」(20代男性)

事件から3カ月経っても…「脳裏に焼きついている」

また別の被害者も…

 名古屋市北区の自営業の男性(40代)も、あおり運転の被害にあった1人です。

「憤りでしかないですね。これだけ報道されているのに、あおり運転というものが減っていない。精神的な苦痛で、またどこかで運転していても、あおりにあうのではないか」(40代男性)

 2020年4月、職場に向かう途中のことでした。

「恐怖と、事故になりかねない行為だったので、停車しなければいけないのか、もしくは直進して、そのまま進むのか。判断がすごく難しかった」(40代男性)

暴行の疑いで会社役員の50代の男が逮捕される

 警察によりますと、「お前を絶対に捕まえる」などと怒鳴りながら、男性の車への幅寄せや蛇行運転を、約1.3kmにわたって繰り返し、赤信号で停車した車に近づき運転席を力強く閉めるなどした暴行の疑いで、会社役員の50代の男が逮捕されました。

 事件から、約3カ月。
 男性は、当時の光景が忘れられないといいます。

「自宅を出て、店に行くという毎日だった。それが、あおり運転によって途切れてしまう。どこかの脳裏に焼きついている。厳罰化で、いち早くあおり運転がなくなってほしい」(40代男性)

あおり運転にあたる"10の行為"とは

警察への取材を基に作成

 6月30日から、どのような行為があおり運転にあたり、罰則が強化されるのでしょうか。

 新しくできる「妨害運転罪」のあおり運転にあたるのは、全部で10の行為です。

 ①対向車線からの接近
 ②急ブレーキをかける
 ③車間距離を著しく縮める
 ④急な車線変更
 ⑤危険な左側からの追い越し
 ⑥継続的なハイビームやパッシング
 ⑦執拗なクラクション
 ⑧無理な幅寄せや蛇行運転
 ⑨高速道路で最低速度を下回る低速走行
 ⑩高速道路などでの不必要な駐停車

 このような行為が、他の車などの通行を妨害する目的で行われた場合、「妨害運転罪」の可能性があります。

 

自転車も摘発の対象に

自転車も対象に

 さらに、6月30日からは、自転車が行うあおり運転も摘発の対象になります。
 
 自動車、バイク、ほかの自転車への通行を妨害する行為、例えば「逆走して進路をふさぐ」「執拗にベルを鳴らす」などが当てはまります。                    

(6月26日 15:40〜放送 メ〜テレ『アップ!』より)