年に1度、世界レベルで大規模に人々が移動する祝いの日が旧正月だ。旧正月は、家族の再会、豪華な料理、騒々しい祝福がつきものだ。ちなみに、旧正月を西洋では「チャイニーズ・ニューイヤー」と呼ぶが、旧正月を祝うのは中国だけではない。

 現在、中国はグレゴリオ暦を採用している。ただ祝祭日となると話は別だ。紀元前21世紀ごろから今日まで、祝祭日は伝統的な太陰太陽暦に基づいて決められている。1912年、中華民国の成立とともに、グレゴリオ暦が正式に採用された。このとき、新暦の年初である1月1日を元旦、旧暦の最初の日を春節と定めた。今の中国で春節と言えば、旧正月のことだ。

 旧正月は、その名の通り旧暦の正月のことだ。旧暦は月の満ち欠けの影響を受けることから、旧正月は年ごとに期間が異なる。中華圏では「春節」として、韓国、チベット、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア、多数の華僑、華人が暮らす地域では「旧正月」として、現在も多くの人がこの期間を祝う。祝いの形こそ国で異なるが、「再会」と「希望」というテーマは共通だ。

 中国では、春節の前後40日間に行事や儀式がある。この期間には7日間の祝日が設定されており、春節の前日は、一族で特別な料理を食べる習わしがある。一年で最も重要な食事と考えられており、伝統的に、最年長者の家に皆が集まる。

 旧正月の休暇は、現代的な形に変化しているが、中国をはじめとするアジアの国々では今も、数千年の伝統が大切にされている。中国には、爆竹を盛大に鳴らす習慣があり、年獣という怪物を追い払うことができると考えられている(ただし近年、大気汚染対策の影響で、爆竹は下火になっており、花火業界は打撃を受けている)。さらに、赤の衣装や装飾で繁栄を願い、子供には紅包という赤い封筒でお年玉を渡す。韓国では旧正月を「ソルラル」と言い、餅の入ったスープを食べ、先祖への敬意を示す。ベトナムの旧正月であるテトの祝祭では、花が重要な役割を果たす。

 旧正月は旅の季節でもある。中国では「春運」と呼ばれる現象にまでなっており、家族で集まり、新年を祝うため、人々が故郷を目指して一斉に移動する。「China Daily」のハン・ジャ氏によれば、2020年は旧正月の40日間に、延べ人数で中国の人口を上回る約30億人が動く見込みだ。春運は世界最大規模の人類大移動として知られ、ただでさえ人の多い道路や鉄道、空港が慢性的に混雑する。それでも、多くの人にとって、最愛の家族や友人と旧正月を祝うことは、それだけの価値がある。