ギリシャの南端に位置するペロポネソス半島は、古代ギリシャ文化の中心地の一つであり、神々と英雄たちが闊歩した神話の土地だ。古代の遺跡、荒涼とした風景、そしてギリシャならではの最高の料理に出合えるこの地は、観光客にお馴染みのアテネやギリシャの島々にとって代わる目的地といえる。

 ギリシャ本土からとコリント運河で隔てられたペロポネソス半島は、何百年もの間、地中海東部の交差点となっていた。一帯には古代文明、そして征服を試みた者たちの遺構がそこかしこに残る。ギリシャの神々に捧げられた神殿、スパルタやミケーネの強力な王の宮殿だけでなく、オスマン帝国、フランク人、ベネチアなどによる侵略が相次いだことを物語る要塞が今も残っている。

 幸い、現代の観光客の大群はここまでは来ていない。ミコノス島やサントリーニ島のような過剰な観光地化を、ペロポネソス半島はおおむね免れている。ポプラやオリーブの木立が茂る美しいアルカディア地域では、ニンフや水の精がかつて戯れていた、手つかずの荒野の名残を見ることができる。

 ルシオス渓谷を数日かけてハイキングすれば、観光客よりも修道士たちと行き合う可能性の方が高い。彼らが暮らす修道院の中には、中世に起源をもつところもある。

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