新型コロナウイルスの世界的拡散が加速するなか、マスクをはじめ不足する道具を自作しようとの動きが増えている。

 米ボストン小児病院は、病院スタッフ向けのマスクを自作する方法を動画で公開した。新型コロナ対策に推奨されているN95マスクを模したもので、病院に常備してある材料だけで作成できる。外科研修医ブリアナ・スラトニク氏と同僚たちが開発したこのマスクは、材料コストが3ドル未満、手作り感に溢れているものの効果はあると言う。(参考:「ボストン小児病院が提案する自作マスク」(外部サイトへリンクします))

 動画の中でスラトニク氏は、麻酔用マスクと一般的なフィルターを組み合わせたものにゴムバンドを取り付け、出来上がったものを顔に取り付けている。このマスクは米国立労働安全衛生研究所の認可をまだ受けておらず、また同病院には今のところN95マスクの在庫があるため、新たな装置を患者の近くで利用してはいない。

「ウイルス感染防止のため米国民がさらにできることを、米疾病対策センター(CDC)が発表しています」と、トランプ大統領は4月3日、ホワイトハウスでのブリーフィングで話した。「CDCは自主的な公衆衛生対策として、医療用でない布製マスクの使用を推奨しています」

 しかし、自作グッズは安全なのだろうか? 今のところ検証結果は少なく、また結論はまちまちだ。有望なアイデアもあるが、逆に事態を悪化させる可能性を指摘する声もある。4月2日に医学誌「The Lancet」に掲載された論文によると、コロナウイルスは布の上で少なくとも1日、そして医療用マスクの上で最長7日間、生存できるという。

「医療従事者たちが、防御していると思い込んで(誤って)患者を危険にさらすことだけは避けたいものです」と話すのは、米ミシガン大学アナーバー校の看護・公衆衛生学教授、クリストファー・フリーズ氏だ。

 以下で自作グッズの例と、医療関係者たちの見解を紹介する。

マスクを手作りする

 インターネット上には、マスクを手作りする方法やどのような形や素材がいいのかといった議論が溢れている。だが、自作マスクについての医学的見解は割れている。

 2013年の研究において英国の研究者たちは、コットンのTシャツ、食器ふきん、枕カバー、掃除機用集塵袋などの日常的な素材をフィルターに用いたマスクの効果を検証した。こうした自作マスクは何もないよりはましだったが、医療用マスクほどの効果を持つものはなかった。医療用マスクは上記のマスクに比べ、実験室内で3倍の微粒子を取り除き、また咳テストで2倍の飛沫を防いだ(新型コロナウイルスなどの感染症では、飛沫による感染が最も多い)。

 ただし、自作品も微粒子が通るのをある程度は防いでおり、何も付けないよりはましと言えそうだと、2013年の論文の共著者である英ケンブリッジ大学のアナ・デイヴィース氏は話す。

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