南米エクアドル北部の暗い雲霧林の中で、メリッサ・コスタレス氏は虫の鳴き声に耳を傾けていた。

 2019年8月のことだ。カナダ、ニューブランズウィック大学の保全生物学者であるコスタレス氏は、落ち葉に似た茶色い小さなカエルを探すため、同僚とともにある私設保護林を訪れていた。涼しい夜が始まるころには、10匹ほどのサンプルが見つかっていた。首尾は上々だ。

 そのとき、研究者の一人が茂みの中に明るい緑色を見つけた。全員が驚いてしゃがみこんだ。

「そこにいたのです」とコスタレス氏は言う。「伝説のAtelopus mindoensisが!」

 Atelopus mindoensis(ミンドフキヤガマ:フキヤガマ属の一種)が生きた状態で目撃されたのは実に30年ぶりだ。このカエルは、カエルツボカビ症の犠牲になって絶滅したと、多くの人が考えていた。

 ここ30年間で、ツボカビ症は世界中の両生類を激減させている。この病気に感染すると、皮膚から酸素や水を吸収できなくなる。中でも、特に大きな被害が出ているのがフキヤガマ属だ。しかし、ミンドフキヤガマが再発見されたことで、このグループに希望の光が見えてきたと、専門家は述べる。

「30年という時を経て再び姿を見せるようになったのは、ツボカビへの抵抗力を獲得したからかもしれません」と、コスタレス氏は話す。今回の発見は、4月14日付けでオンライン学術誌「Herpetological Notes」に発表された。

 科学者はこれまでにいくつか、ツボカビへの抵抗力を獲得したカエルについて報告しており、その中にはヤドクガエルの仲間やフキヤガマの仲間もいる。

 しかし、人間とコロナウイルスとの関係と同じように、試験が不十分なため実際にどの程度回復しているのかはわからないと、米ネバダ大学リノ校の病理生態学者であるジェイミー・ボイルズ氏は語る。

「現在、世界的に大流行している新型コロナウイルスなど、多くの感染症に関する研究から、感染症や感染拡大はやがて収束することがわかっています。一般的に、流行期の後に集団内の重篤性が低下します。両生類でも同じです」。なお、ボイルズ氏は今回の研究には関与していない。

次ページ:パンデミックを乗り越えた種