二酸化炭素を吸収し気温の上昇を抑える手段として植樹が急浮上しており、今やアマゾンやアップルをはじめとする多くの企業や政治家、環境保護主義者論者らがこぞって森林再生を急速に推し進めている。

 しかし、学術誌「Frontier in Forests and Global Change」に2月4日付けで発表された最新の論文によれば、森林再生に使える土地を十分に活かすには、現状では苗木が足りておらず、全米の生産量を少なくとも年間30億本に増やさなければならないという。30億本は現在の2倍以上だ。

 論文の筆頭著者である、自然保護団体ザ・ネイチャー・コンサーバンシー北米支部のジョー・ファジョーネ氏は「早いうちに」増やさなければならない、と述べる。「木は育てなければ植えることができません。そして、種がなければ苗木を育てることすらできません」

 米国の苗木生産量をどのように増やすべきかをより深く理解するため、ファジョーネ氏ら十数人の研究者は2020年、連邦、州、民間合わせて181の育苗業者と森林業者を調査した。米国の苗木生産量の半分以上をこの181業者が占める。

 今回発表された調査結果によると、現在、全米の育苗業者で年間13億本の苗木が生産されている。その大部分が製材会社による伐採や山火事での損失を補うために充てられる。もし論文にある通り米国の森林を2600万ヘクタールほど増やすには、苗木を年間17億本増産しなければならない。その結果、必要な苗木は年間30億本になる。つまり、現在の2.3倍だ。

 論文によれば、苗木生産量を2.3倍に増やし、排出された炭素を十分回収できるほど長く維持するには数百億ドルのコストがかかるという。種子の収集を行う専門家を養成し、新たなインフラに投資するだけでなく、森林が害虫、病気、干ばつ、山火事などを乗り越えられるよう長期的な監視を強化する必要がある。これらの脅威はすべて、気候変動によって増加しているものだ。

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