肥満と脳の萎縮に相関関係があった──認知症対策に使えるかも?

<BMIとウエスト・ヒップ比(WHR)が認知症のリスクを察知するのに役立つかもしれない>

お腹まわりの余分な脂肪と脳の萎縮に相関関係があることが明らかになった。では、肥満度を減らすことは認知症予防につながるのだろうか。ニューロロジー誌で1月9日に発表した論文で、英ラフバラ大学のマーク・ハマー教授がこの疑問と取り組んだ。

脳の萎縮が記憶力の低下やアルツハイマーをはじめとする認知症のリスク増大につながることは、過去の研究から知られているが、お腹まわりの脂肪と脳のサイズの関係についてはわかっていなかった。

肥満度が脳の大きさに影響を及ぼすかどうかを調べるため、研究チームは9,652人分のデータを解析。調査参加者の年齢は40〜69歳で、平均年齢は55歳。参加者のほぼ5人に1人が肥満と分類された。

肥満度は、身長と体重から算出するBMI(ボディー・マス・インデックス)とウエスト・ヒップ比(WHR)の両方を基準にした。BMIは体脂肪率が高いかどうかの目安。WHRはウエスト(cm)÷ヒップ(cm)で算出し、数値が高いほどお腹が出ていることになる。アメリカではBMIは30以上、WHRは男性が0.9以上、女性で0.85以上が「肥満」だ。

脳の灰白質の容積が減少

研究チームはMRI(磁気共鳴映像法)で参加者の脳をスキャンし、脳の表面に近く神経細胞が密集する「灰白質」と神経細胞同士をつなぐ「白質」を含む脳のMRI画像を解析した。

その結果、BMIとウエスト・ヒップ比の両方が最も高いグループは灰白質の容積が最も小さく、平均で786立方センチメートルだった。対照的に、BMIは高いがWHRは高くないグループは平均で793立方セン、BMIで適正体重だったグループは平均で798立方センチだった。白質の容積は体重に左右されなかった。

「肥満、特にお腹まわりの肥満と脳の萎縮に相関関係がある可能性がある」とハマーは言う。「今回の研究で、肥満と脳の特定領域の萎縮に相関関係があることが分かった。今後さらなる研究が必要だが、将来的にはBMIとWHRを測定することが脳の健康診断に役立つかもしれない」

だが、今回の研究で肥満と脳の萎縮の因果関係が証明されたわけではない、とハマーは釘を刺す。たとえば、調査参加者は参加しなかった人たちより健康的な傾向にあった。「お腹まわりの肥満が灰白質の容積減少とつながっていることは分かったが、脳構造の異常が肥満を引き起こしたのか、その逆なのかは分からない」

(翻訳:河原里香)



※2019年1月15日号(1月8日発売)は「世界経済2019:2つの危機」特集。「米中対立」「欧州問題」という2大リスクの深刻度は? 「独り勝ち」アメリカの株価乱降下が意味するものは? 急激な潮目の変化で不安感が広がる世界経済を多角的に分析する。



カシュミラ・ガンダー


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