兵士不足のドイツ軍、外国人募集か徴兵復活か

<ロシアとの緊張が高まるなか、欧州には徴兵などで武装強化を図る動きが広がっている>

ドイツ連邦軍は兵員不足に対処するため、外国人の入隊を認めることを検討している。

法的には、連邦軍に入隊するにはドイツ国籍をもち、ドイツに忠誠を誓うことが条件になる。だが2017年11月時点で連邦軍の現役兵は18万997人で、欠員は深刻な問題だ。

ドイツでは2011年に徴兵制が廃止され、連邦軍は18歳以上の志願兵を募ってきた。しかし、地域情勢の悪化を受けてフランスはじめ近隣諸国は徴兵制の復活を検討。ドイツでも復活が議論されているが、連邦軍は当面外国人の受け入れで欠員を補充する考えのようだ。

米誌ナショナル・インタレストは最新号でこの問題を取り上げている。ドイツのニュース週刊誌シュピーゲルは先月、入手した文書を引用して、連邦軍はドイツ在住のポーランド人、ルーマニア人、イタリア人の新兵採用を検討していると伝えた。

しかも問題は単に人数の不足ではない。サイバー攻撃に対処できる高度な専門知識をもつ人員が決定的に足りない。

エーベルハルト・ツォルン連邦軍総監は先月、人員のギャップを埋めるために「あらゆる方法を検討し、適性をもつ訓練兵を確保する必要がある」と、ドイツのフンケ新聞グループに語った。特に医療と情報技術の専門家を必要としており、EU加盟国の出身者受け入れも「選択肢の1つ」だという。

サイバー防衛の強化が急務

中道左派の社会民主党(SPD)の議員で、連邦議会の軍事コミッショナーを務めるハンスペーター・バルテルスは、今でも連邦軍には「移民やその家族、あるいは二重国籍の兵士が多く」いるので、EU加盟国出身者の入隊には「さほど違和感はない」だろうと、ドイツの国際放送ドイチュ・ベレに語った。

ドイツ国防省は2016年12月、「連邦軍の人員戦略」と題した報告書で、「EU市民を兵士として受け入れる可能性を検討する」と発表。その後ドイツ通信社の取材に、同省の報道官は「連邦軍は拡大中」で、「有資格の人員が必要」だと答え、受け入れに向けた動きが着々と進んでいることを印象づけた。

EU各国が軍備増強を目指す背景には、ロシアとの緊張の高まりがある。ロシアの政府系ハッカーは欧米諸国の選挙に介入し、政府機関やインフラを狙った攻撃を繰り返しているとみられ、ドイツ連邦軍は新たな脅威に対処するため、2017 年4月にサイバー情報戦部隊を新設した。

NATOはロシアとの国境地帯の防衛を強化しているが、ドナルド・トランプ米大統領がドイツ、フランス、イギリスなど欧州のNATO加盟国に、国防支出を増やして同盟への貢献度を高めるよう要求するなど、頼みのアメリカと欧州の加盟国との関係はぎくしゃくしている。



徴兵制再導入も検討

ドイツで最近実施された世論調査では、自国に対する最大の脅威はアメリカだと答えた人が、ロシアだと答えた人とほぼ同数だった。

こうしたなか、ロシアの動きに神経を尖らすバルト三国の一員リトアニア、そしてNATO非加盟のスウェーデンが徴兵制の再導入に踏み切った。ドイツ政府も再導入を検討中だと伝えられている。

外国人の軍隊受け入れの先例はいくつかある。アメリカの場合、市民権がなくともグリーンカードがあれば入隊できる。イスラエル軍はユダヤ教徒であれば国籍を問わず受け入れているし、ロシアでは2014年末の法改正でロシア語を話せるなら、外国人でも軍務に就けることになった。

ドイツはプロイセンを盟主とする連邦国家の時代からナチスの時代まで世界に名だたる軍事大国だった。第2次大戦後、東西に分裂したが、西ドイツは冷戦下で再軍備が認められると、1990年のドイツ再統一まで、NATOの主力として西側防衛の一翼を担った。


トム・オコナー


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