米国防省が「昆虫兵器」の研究を募集、研究助成金100万ドル

<昆虫の「極小脳」をAI兵器に応用したい米軍関係者だが、その帰結は>

米国防総省の研究部門であるDARPA(国防高等研究計画局)は、AI(人工知能)の次の技術革新のカギになるのは昆虫だとして研究している。

米軍はかなり以前から、ミサイルシステムや蚊の大群のように襲いかかるドローンなど新たなAIの応用実験をしてきたが、最近は自然の複雑を理解して戦略に役立てることに力を注いでいる。一方、DARPAは1月4日に告示した研究テーマ募集のなかで、「空を飛ぶごく小さな虫の驚くべき計算能力など、新たなコンピューターの枠組みと戦略を引き出す方法や革新的な基礎研究コンセプトを募集する」と述べた。

昆虫の「極小脳」に学べ

「小さな昆虫たちは、進化の過程で徹底的な小型化とエネルギーの効率化を進めてきた。なかには数百のニューロンしか持たないのに基本的な機能を備えている昆虫もいる」と、その概要には書かれている。

DARPAは1月8日のツイートで、「小さな昆虫の高度に統合された感覚系と神経系の理解が、より小型で軽量かつ電力効率の良いAIシステムの開発にどう役立てられるか」を見極める研究を「マイクロブレイン(極小脳)」プロジェクトと呼んでいる。

このプロジェクトは、2月4日まで応募を受け付けている。昆虫の脳とその意思決定機能をマップ化する能力があると認められて採用された者には、100万ドルが提供される。DARPAの「人工知能探索(AIE)」プログラムの一環だ。DARPAの広報担当エリック・バターボーが「エアフォース・マガジン」に語ったところによれば、AIEプログラムは「与えられた18カ月以内に、研究者らが新たなAIコンセプトの実現を目指す、リスクも高いが報酬も大きい一連のプロジェクトで構成されている」という。



2018年6月に立ち上がった人工知能探索プログラムは、最近の国防総省のAI進出を明確に示すものだ。ただし、この研究分野は論争も巻き起こしている。9月には、「人間による操作を必要としない人工知能を使った兵器システム」の正当性を議論する国連の会議で、アメリカとロシアがともに規制に反対した。

AI研究への投資は、2017年12月に発表されたドナルド・トランプ大統領による「米国ファースト」の国家安全保障戦略の一環だ。そこでは「データ科学、暗号化、自律技術、遺伝子編集、新材料、ナノテクノロジー、先進的計算技術、人工知能など、経済成長と安全保障において重要となる最先端技術を優先する」と述べており、「自律走行車から自律型兵器まで、人工知能分野はとりわけ急速に進歩している」と指摘している。

その1カ月後に発表された国家防衛戦略では、国防総省は「軍事競争で有利に立つために、民間の革新的技術の迅速な応用も含め、自律技術、人工知能、機械学習の軍事応用に幅広く投資する」と述べられている。

故スティーブン・ホーキングをはじめ、専門家のなかには、規制を受けないAI開発は、我々の知る世界の終りをもたらしかねないと警告する者も少なくない。

(翻訳:ガリレオ)


トム・オコーナー


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