金正恩4度目の訪中は、トランプへの牽制が目的か

<自分の誕生日1月8日にあえて北京入りしたのは、「新しい道」=対中接近を見せつけるためだった?>

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は1月8日、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席からの招待を受ける形で4度目の訪中を行った。この日はちょうど、金の誕生日だった。

金の実際の生年月日については今も諸説あるが、米政府を含む大半の専門家の見方は84年1月8日で一致している。そうすると、金はこの日で35歳。アメリカ人なら、ようやく大統領選に立候補できる年齢に達したことになる(ちなみにトランプ米大統領は72歳、習は65歳)。

父親の故・金正日(キム・ジョンイル)から最高権力者の地位を継承したのは11年末。当時は祖父の代から続く金王朝の最も若い支配者であり、世界最年少の国家指導者だった。

昨年までの金は前任者と違い、核開発計画を進める北朝鮮に対するアメリカ主導の制裁と非難決議を支持した中国に対し、よそよそしい態度を取っていた。トランプは米朝間の緊張が高まっていた17年、中朝の潜在的な不仲を利用して金に圧力をかけようとした時期がある。

だが18年に入ると、金は外交姿勢を一変させる。韓国と急接近した金は、3月に韓国の特使を通じてトランプに初の米朝首脳会談開催を呼び掛けると、同月末には中国を初めて訪問。その後も6月の米朝首脳会談と3度の南北首脳会談の一方で、2度の訪中を行っている。

「中国は良きパートナー」

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、今回の3日間の訪中には妻の李雪主(リ・ソルジュ)と金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長を含む外交担当責任者が同行している。

BBCによれば、金は11年に父親が中国やロシアを訪問した際に使用した列車に似た特別列車で中国入りした。「(平壌の)鉄道駅では党、政府、軍の幹部の温かい見送りを受けた」と、朝鮮中央通信は報じている。

対米交渉を担当する金英哲が同行したという事実は、19年のどこかの時点で金とトランプの2度目の米朝首脳会談が開催されるという推測を勢いづかせた。

今回の訪中は、貿易戦争を繰り広げる米中両国が問題解決に向けた話し合いを続けている最中の出来事でもあった。金は1月1日の「新年の辞」で、アメリカが北朝鮮への制裁を緩和しなければ「新しい道」を進むことになると警告した。

ワシントンのシンクタンク、センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレストのハリー・カジアニス国防研究部長はこう指摘する。「金はトランプ政権に対し、アメリカと韓国以外にも外交的・経済的選択肢があることを強調したいのだ」



北朝鮮の対外貿易はかなりの部分が中国経由であり、中国がその気になればアメリカの「最大限の圧力」戦略を容易に無効化できる――それを考えれば金の訪中は驚きではないと、カジアニスは付け加えた。「金が新年の辞で言及した『新しい道』は、暗に中国への接近を意味する脅しだった可能性も十分にある。アメリカも少なからず心配になるはずだ」

だが、ポンペオ米国務長官は7日のテレビ番組のインタビューでこの見方を否定。米中貿易戦争と北朝鮮の非核化は関連しないと言った。「中国はアメリカに対し、両者は別々の問題だという明快な立場を示してきた。そのことは彼らの行動からも明らかだ」

中国は朝鮮半島の非核化を目指すアメリカの良きパートナーだと、ポンペオは称賛した。「北朝鮮の核開発能力が世界に与えるリスクを軽減するための取り組みにおいて、実際に中国は良きパートナーであり、今後もそう期待している」

<本誌2019年01月22日号掲載>



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