メモリー売却、東芝・WD・アップルが最後の駆け引き

メモリー売却、東芝・WD・アップルが最後の駆け引き

 東芝は半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、経営への関与を弱める提案をした米ウエスタンデジタル(WD)が軸となる「新日米連合」を最有力候補とし最終調整を進める。13日までの契約を目指す。課題として残るのは、WDの将来の議決権取得、提携関係の再構築という2点だ。

 東芝は、東芝メモリ売却の契約決定を何度か延期した。しかし主要取引行幹部は「13日締め切りという重みはこれまでとは違う。相当堅いスケジュールだ」と強調する。

 東芝はWDの新提案を軸に検討している。WDは買収時から資金拠出する従来案を変更し、東芝メモリの新規上場など後のタイミングで議決権の15%程度を取得する計画を示しているという。

 東芝は、同業のWDが買収時から関与することによる独占禁止法の審査長期化を嫌がっており、それに配慮した。WDが抜ける金額面の穴は、米アップルが埋める案などが挙がっている。

 東芝はWDの新提案を受け入れられるか。最大の焦点は将来の議決権取得の意向だ。東芝や、新日米連合に参画する政府系ファンドの産業革新機構は、継続して日本勢が東芝メモリの経営を主導することを条件としている。

 WDが議決権を15%水準から引き上げなければ問題はなく、主要取引行幹部は「その方向で話が進んでいる」と説明する。しかし、これまでWDは譲歩を示しつつも、一貫して東芝メモリの経営権取得を諦めなかっただけに、東芝は提案に“抜け穴”がないか慎重に検討しているようだ。

 買収後の東芝メモリとWDの提携関係についても議論になっている。東芝とWDは四日市工場(三重県四日市市)の生産設備について共同投資してきたが、建設中の第6製造棟をめぐっては8月に東芝が単独投資する方針を示した。また東芝は岩手県北上市に新工場を建設すると発表した。

 こうした東芝の単独姿勢が東芝メモリ売却でWDの譲歩を引き出した格好で、新提案の中でWDは、提携関係を維持し両案件の投資に加われるよう求めている。また権益拡大を目指し、生産したメモリーチップの分配比率の引き上げを認めるよう東芝に要求しているもようだ。

 WDに議決権引き上げを断念させる代わりに、共同投資継続とチップの分配比率引き上げを認めるのは、東芝が探る落としどころの一つになり得る。ただチップ分配比率の引き上げ水準によっては東芝メモリの企業価値が下がりかねない。

(文=後藤信之)


【ファシリテーターのコメント】
ここにきて「アップルがWD主導に警戒感」という報道が流れているが、それは以前からのこと。ほんとに最後の最後の駆け引きでしょう。でも今回の一連のディールでWDがいろいろな方面からビジネス相手として嫌われている、ということを改めて再確認した。
明 豊

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