顧客増加や資金調達、SDGsを経営メリットにつなげるには?

顧客増加や資金調達、SDGsを経営メリットにつなげるには?

 「持続可能な開発目標(SDGs)」が産業界に知られるようになった。経営や事業への活用となると大企業が先行するが、SDGsに着目して競争力を付けている中小企業も出できた。行政や地域の金融機関もSDGsを基準に企業支援を始めており、中小企業も事業を通したSDGsへの取り組みが経営メリットになろうとしている。

20社以上の新規顧客
 SDGsは2015年9月の国連総会で採択された世界共通目標。社会、環境、経済の課題を解決した30年の“未来像”を目標として描いた。健康、教育、エネルギーなど分野別に17のゴールと具体策を示した169のターゲットがある。国連は現状と“未来像”とのギャップを埋めるため、企業に事業活動による課題解決を要請。企業は市場予測や新事業の開発にSDGsを活用できる。

 従業員約40人の大川印刷(横浜市戸塚区)は18年度、20社以上の新規顧客を獲得した。1881年(明14)の創業から地元・横浜で印刷業を営んできた同社にとって大幅な増加だ。同社のSDGsの取り組みを知った企業から声がかかった。

 好評なのが「SDGsを忘れないメモ」だ。メモ用紙裏面に「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロ」などのSDGsの目標別のアイコン(絵文字)が描かれている。メモ書きをして1枚めくるたびにアイコンが目に入る。

 大川印刷はSDGsの認知度アップに貢献しようと製作した。行政などのイベントで無料配布されるうちに話題となり、社員へのSDGs教育に使いたい企業から注文が入るようになった。SDGsがきっかけとなり、新規顧客と結びついた。

SDGsを経営計画に
 もともと同社はCSRを経営の基軸にしており、大川哲郎社長は「印刷を生かした社会課題解決があるはずだ。社員には『印刷の仕事をしたいならCSRをしなさい』と言ってきた」という。

 紙製リングで紙をくくった卓上カレンダーも課題解決の視点から生まれた自社製品だ。リングが金属だと廃棄時に取り外す手間があるが、紙製なら分離せずにリサイクルへ回せる。生態系や地域社会に配慮した森林資源の利用を示す「FSC」認証の紙を使用。目に不自由がある人でも読みやすいデザインにもした。

 外資系企業の目にとまり、公式カレンダーに選ばれた。CSRを重視する外資企業のビジョンとカレンダーのモノづくりが一致し、新規取引が始まった。

 また別の外資系企業からはFSC認証紙を大量に使用していることが評価され、1500万円の受注を獲得した。CSRにこだわる姿勢が共感され、利益につながっている。

 いまはSDGsを経営計画に採り入れてCSR経営を強化している。メモ帳以外でも「SDGsに熱心だから」という理由で発注が入るようになった。大川社長は「社会から評価されて従業員の意識も高まった。SDGsは従業員教育にもなる」と実感を込めて語る。

<次ページ:行政の支援施策続々>
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