ヘリ・固定翼機の社内飛行で大記録、8万時間無事故を達成した川重の極意

ヘリ・固定翼機の社内飛行で大記録、8万時間無事故を達成した川重の極意

 川崎重工業が空の安全に貢献してきたことを示す大記録を打ち立てた。ヘリコプターと固定翼機の社内飛行で、8万時間連続無事故を達成した。記録を始めた1977年から続く偉業は、パイロットの日頃の訓練や、生産品質へのこだわりのたまものだ。

情報共有を徹底
 消防や警察で活躍するヘリ「BK117」に、海上自衛隊の固定翼哨戒機「P1」や航空自衛隊の輸送機「C2」。川重はこれらを岐阜工場(岐阜県各務原市)で生産している。新造機や修理・改造機が、顧客の求める性能を発揮できているか飛行試験で確認し、出荷する。

 05年以降の機種別ではBK117が飛行時間で最長だ。社内飛行にはヘリ、固定翼機9人ずつ擁するパイロットの訓練飛行も含まれる。複数機種に搭乗するため、操縦技術の維持は重要だ。普段からイメージトレーニングを欠かさないという。操縦機種が決まっている航空会社のパイロットとの違いだ。

 訓練飛行では、同伴者が助手席に座る決まりだ。安全への配慮のほか、パイロットに緊張感を持たせる狙いもある。時には工場の作業者を乗せる。自分が生産しているモノを実感させるためだ。

 無事故を続けている根底にあるのがミスを隠さずに報告する風土だ。事故に至らなかったヒヤリ・ハットを掲示板に書くようにしており、共有できる。木村一広航空宇宙システムカンパニーQM推進本部品質保証部飛行課長は「フランクに話せる環境になっている」と風通しの良さを説く。

生産管理に磨き
 生産品質の安定も、無事故記録を支えている。岐阜工場では川重独自の生産管理技法「KPS」を展開している。一人ひとりがどのような作業をすべきかが手順書で明確になっており、不明点は改善し、工場全体で共有する仕組みができている。松田豊QM推進本部QM計画部長は「不具合を減らしていった」と効果を説く。

 安全に対する作業者の意識付けも浸透している。空を飛ぶモノを作っているという意識を徹底するため、航空安全の標語を定期的に募集。工場内に掲示し、作業者の目に入るようにしている。

 無事故記録を今後も伸ばす上で、パイロットに求められる技量は高まる。機体の電子化で入力作業が増えており、そちらに気を取られれば安全に影響が出かねない。特にヘリは訓練エリアが狭く、接触事故を起こさないよう気を配ってきた。空の安全のため、不断の努力が続く。
(文=名古屋・戸村智幸)


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