トヨタ自動車はスポーツ車専用の生産ラインを元町工場(愛知県豊田市)内に新設した。セル生産方式による多品種少量生産に適した生産ラインを構築。複数のセルを無人搬送車(AGV)でつなぎ、ベルトコンベヤーを用いない組み立てラインとした。今夏の販売を計画する小型スポーツ車「GRヤリス=写真」を生産する。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」の台頭などで顧客のニーズが多様化する中、多品種少量生産の新機軸となりそうだ。

新たな生産ライン「GRファクトリー」は、スポーツ車を手がける社内カンパニーのガズーレーシングカンパニーが整備した。複数の生産セルごとにユニットを作り込むことで、スポーツ車に不可欠なボディーの高剛性化と、超高精度の組み付け作業を実現。少量生産車にありがちな変種・変量にも、生産効率を落とすことなく対応できるようにした。

トヨタ全社から熟練工を集め、新ラインを技能伝承の場としても活用する。大量生産から作り手の意志がこもった多品種少量生産の知見を蓄積していく。MaaS(車のサービス化)など、車の使われ方が多様化する中、新たな多品種少量生産の試金石となりそうだ。

新ラインで生産するGRヤリスは、世界ラリー選手権(WRC)参戦で培ったノウハウを生かして開発した市販のスポーツ車。トヨタは「86(ハチロク)」「スープラ」と往年の名車の系譜を受け継ぐ新型スポーツ車を販売しているが、GRヤリスで初めて「完全内製化という形のスポーツ車づくり」(豊田章男社長)を実現した。