家事の悩みの多くを占めるのが、料理だ。ミールキットや宅食など便利なソリューションも増えているが、「自分で調理をしたい」「手作り料理を食べたい」というニーズも根強い。
 最近注目を集めている電気自動調理鍋と、実は機能が進化している冷蔵庫を取材した。

【電気自動調理鍋】

材料と調味料を入れて、メニューを選びスイッチを押すだけ、という「ほったらかし」で料理を実現するのが、シャープの電気自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」だ。
 ツイッターやインスタグラムで「#ホットクック」と検索すると、「今日は〇〇を作りました!」「こんなメニューに挑戦しました!」というコメントとともに、様々な料理の写真が毎日たくさんアップされている。

共働き世帯の増加に伴い、料理に張り付いている時間を削減できることから自動調理鍋市場は拡大しつつある。その中でホットクックは2015年の発売から累計20万台を突破した。
 「他社と違う特徴は、自動でかきまぜる機能がついている点」だと商品企画部の吉田麻里氏は強調する。メニューによってかきまぜ方を細かく変えることによって調味料の浸透が均一になり、おいしく仕上がるという。また無水調理や予約調理にも対応している。

シャープ「ヘルシオホットクック」と吉田麻里氏

献立決めもサポート

さらに支持を集めているのが、AIoT(AIと IoTを組み合わせたシャープの造語)の機能だ。
 クラウドサービス「COCORO KITCHEN」と接続することで、調理可能なメニューを増やせる。また外出先でもスマホアプリで献立を選んでホットクックに送信することで調理メニューの設定が簡単にでき、予約調理のできあがり時間を変更することも可能。「外出中にアプリで献立を決めてホットクックに送信すれば、買い物で悩むことも少なくなり、帰ってからもスムーズに調理でき時短になる。メニューを考える負担も減り、失敗も少ない」。現在クラウドサービスは購入者の60%が接続しているという。
 さらに同社の冷蔵庫やウォーターオーブン「ヘルシオ」をつなぐことで、冷蔵庫の中身から献立を考えレシピをホットクックやヘルシオに送信することもできる。

「ほったらかし」は後ろめたくない

購入者は子育て世帯が6割超、共働き世帯も3分の2にのぼる。「調理の手間を減らしたい」「時間がない中でも料理をしたい」というニーズの増加とともに、2018年の販売台数は前年比1.5倍となった。
 ただ「ほったらかし」をアピールするようなったのはここ2年ほど。発売当時は「無水調理」がフォーカスされていたが、「料理が楽になる」という点が徐々に広まり、世の中の家事負担軽減の流れに乗り発売3年目にしてヒットした。
 「ほったらかし」は「手抜き」というマイナスイメージにつながりかねない。そんな中でもホットクックは楽をしたい人だけでなく、「料理をきちんとやりたい人」にも購入されている。「ホットクックは料理の一部を担うだけで、実際の調理時間を減らしているわけではない。また、材料を揃えたり下ごしらえをしたりというプロセスがあるので、『手を掛けたい』と『楽をしたい』のバランスが取れる点も支持されている」と吉田氏。

これまではファミリー世帯を想定した2.4リットル、1.6リットルの2タイプだったが、2019年に1リットルのコンパクトタイプを発売した。このタイプの購入者のうち3割が1〜2人世帯であり、今後もこの層は増えていくと見込む。

容量1.0リットルの「KN-HW10E」

口コミの強さ

マーケティングで強みになっているのが口コミだ。同社ではホットクックの使い方やメニューの幅を広げてもらうためにも、様々な料理教室を定期的に開催。購入・非購入問わず年間約1500名が参加している。「いままでなかった調理器具なので店頭では使うイメージが湧きにくく、体験してもらえる料理教室を重視している。また、教室でユーザーが良さを広めてくれ、購入につながることが非常に多い」(吉田氏)。

料理教室の様子

一方、ホットクック購入で大きなネックなのが「置き場所がない」ことだ。実際に2.4リットル、1.6リットルを見ると、圧迫感のある印象はぬぐえない。さらにキッチンで炊飯器、電子レンジ、オーブントースターなどの置き場はなんとなく考えられるが、そこに新たにホットクックを置くとなると厳しい、という声が多いという。吉田氏は「キッチンに自然と置かれるような必需品を目指していきたい」と話す。

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【冷蔵庫】

寡黙に24時間食材を冷やし続け、家電の中でも比較的壊れにくいイメージのある冷蔵庫。10年20年買い替えないという人も多い。
 しかし「この10年ほどで機能も性能も大幅に進化している。家事負担軽減にもつながるのでぜひうまく使ってほしい」と三菱電機 静岡製作所の加藤彰久氏は訴える。

三菱電機の加藤彰久氏

まとめ買い→大容量化

共働き世帯の増加に伴い、こまめに買い物に行くよりも食材をまとめ買いする傾向が強まっている。これに対応するべく、冷蔵庫も500〜600リットルの大容量タイプに人気が集まっている。
 ここ数年は冷凍室が中央にあるタイプが主流だったが、2018年から野菜室が中央のタイプもラインナップに加えた。販売台数は半々で推移しているが、共働き世帯は冷凍庫が中央のタイプを購入する方が多い。「まとめ買いの場合は冷凍庫に保存する機会も増える。またここ数年でバリエーションも品質も大幅に向上した冷凍食品をうまく取り入れている印象」(加藤氏)。

三菱電機の冷蔵庫「MR-MX57F」

これに伴い、冷凍機能も進化。「味が落ちる」「うまく解凍できない」などの悩みに応える機能を追加してきた。
 1999年には凍ったまま食材を切ったり小分けしたりできる『切れちゃう冷凍』をリリース。2019年には『切れちゃう瞬冷凍AI』にバージョンアップした。

切れちゃう瞬冷凍では冷凍したままでもひき肉が切れる
シャーベットのようにホワイトソースがすくえる
また冷蔵室内に設置した肉や魚を冷凍せず生のまま長期保存でき、解凍もできる『氷点下ストッカーD』(※)も好評だ。それぞれ購入者の20%ほどが使いこなしているという。
 他社でも冷蔵室全体をチルドにできる機能をリリースしていたりと、食材をもっと長く保存したいというニーズは高まる。三菱電機では、扉の開閉に応じてAIが自動で温度制御し食材の保存期間をより長くする機能を搭載した。

氷点下ストッカーD

細かいけれど嬉しい機能も

また、面倒だが衛生を保つためにも必要な「冷蔵庫内の掃除」をしやすくする工夫もある。土や葉が付きやすい野菜室の底面には、汚れがつきにくい「デュアルバリアマテリアル」を練り込んで成型した抗菌トレイを搭載。取り外して水洗いもできる。製氷機器も分解し丸洗いが可能だ。

しかしせっかく便利な機能がたくさんあっても、「知られていない」「使われていない」という場合も多い。また、今まで家事をやる人だけが冷蔵庫を管理していが、家事シェアが進むと家族みんなが冷蔵庫を使うようになる。
 冷蔵庫の使いこなしについて、販売員に向けた研修や展示会などを定期的に行っているが、メーカーから消費者に直接情報を伝えるような機会は少ない。「今後ワークショップや追加機能などで情報を伝えていけるようになれば、より満足度を高めていけるのではと思っている」(加藤氏)。

(※)約-3℃〜0℃で保存する、過冷却現象を応用した機能

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