エネルギー大手が電気自動車(EV)回りを将来の収益源に育てようと取り組んでいる。東京電力ホールディングス(HD)は急速充電器の設置を担う新会社を中部電力と設立。JXTGHDは中国のEV大手比亜迪(BYD)の日本法人と協業した。国内の電気や石油の需要減少に備え、EV関連の事業化を図る。(戸村智幸)

急速充電規格

東電HDは中部電と2019年10月に設立したイーモビリティーパワー(東京都港区)を通じて急速充電規格「チャデモ」方式の充電器の設置を進める。現在の設置主体の日本充電サービス(同)が22年度末に解散予定のため、イーモビリティーパワーが引き継ぐ。

EVやプラグインハイブリッド車(PHV)が普及し、電動車が一般的になれば、電力需要として有望だ。普及に不可欠なのが充電インフラ整備。小早川智明東電HD社長は「急速充電器を面的に整備しつつ、災害時に重要な施設に給電できるようにもしたい」とという。EV以外にも給電できれば、災害時の停電対策になる。

社内外で本格化

チャデモ協議会によると急速充電器の設置数は19年5月時点で7801基。イーモビリティーパワーは高速道路のサービスエリアなどにも設置範囲を広げる方針だ。東電HDは30年までに自社の業務用車両約4400台を電動化する目標を掲げ、新組織「EV推進室」を発足させた。社内外でEVに本格的に取り組み始めた印象だ。

JXTGHDはBYDとの協業で、EVバスの蓄電池をリースからリサイクルまで循環利用する事業創出を目指す。BYDは日本でもEVバスと蓄電池を販売するが、リサイクルの体制を整備できていないためだ。

EVバスで使用済みになった蓄電池を住宅用太陽光発電に再利用し、さらに分解して新規材料にリサイクルする構想だ。傘下のJX金属の金属やプラスチックのリサイクルのノウハウを活用する。

春ごろにバス運行会社と実証実験を始める。EVバスの運行データや蓄電池の消耗度など、蓄電池リースに向けた情報を収集する。使用済み蓄電池の再利用も実証する。25年に事業化を目指す。

ノウハウ蓄積

出光興産が2人乗りEVのカーシェアリングを岐阜県で実証中で、3月末に千葉県館山市でも始める。EVのメンテナンスノウハウを蓄積する狙いで、木藤俊一社長は「将来は給油所でEVを整備できるようにしたい」と展望する。