多くのビジネスパーソンを悩ませている腰痛。金沢大学大学院整形外科学の加藤仁志助教は腰痛を改善するために体幹トレーニングの有効性を説く。加藤助教は日本シグマックス(東京都新宿区)と共同でトレーニング装置を開発し、体幹トレーニングの啓発に努めている。腰痛の改善に必要なことは何かを探った。(森下晃行)

【有病率37・7%】

「40歳以上の腰痛有病率は37・7%。推定2770万人が腰痛に苦しんでいる」と金沢大学大学院整形外科学の加藤助教は警鐘を鳴らす。そのほとんどは重篤な疾患につながらない慢性腰痛だが「なんとかしてほしいと思っている人はとても多い」(加藤助教)。

そこで同助教が勧めるのが有酸素運動、体操・ストレッチ、筋トレなどの運動療法だ。特に重要なのが体幹を鍛える筋トレ。従来の腹筋トレーニングよりおなかを凹ませる「ドローイン」やおなかを固める「ブレーシング」が効果的だ。

ドローインで鍛えられるのは腹横筋。ブレーシングは腹筋全体で体幹を安定させる効果がある。鍛えられた体幹筋はコルセットのように働き、腰をしっかり支えることで腰の痛みを低減する。

しかし、働き盛りのビジネスパーソンはともかく筋力の落ちている高齢者が筋トレを継続するのは難しい。そこで同助教が日本シグマックスと開発したのがトレーニング装置「リコア」だ。おなかに巻いたカフに空気圧をかけ、力をこめて押し返すことで無理なく筋力を鍛えられる。

【おなかの力測定】

同製品を導入しているかのう整形外科(茨城県土浦市)の理学療法士・庵浩之氏は「おなかの力を測定し数値化できるのがリコアのメリット。可視化によって『トレーニングを続けよう』という意欲がわく」と説明する。段階的に筋力を鍛えるための一つのツールとして活用している。

ただし装置に頼りきりになるのではなく、正しい知識を持った理学療法士に指導を受けながらトレーニングを継続するのがもっとも重要だと庵氏は指摘する。同製品に関しても手放しで称賛はせず「どの筋肉を鍛えればどう改善するのか、トレーニングの本質的な意味を患者に理解させる資料や仕組みがほしい」と意見を出している。

【生活の中で改善】

腰の痛みは生活の中で改善できる。「姿勢を常に意識する、フィットネスジムに通うなどできることはいろいろある」(庵氏)。場所を選ばず誰でもできるドローイン・ブレーシングやリコアの活用で体幹を鍛え、腰痛に負けない体作りを目指したい。