新型コロナウイルス感染症拡大を受けた緊急事態宣言の影響は、企業の大小、業種を問わず広がる。各社は在宅勤務や時差出勤を拡大し、社員の「3密」回避の取り組みを強化する。一方、「モノづくりを止めることはできない」(亜木津工業の小島一孫専務)との声が挙がるように、社会インフラや生活に密接する製品の供給やサービス提供の継続は企業の使命。緊急事態下で難しいかじ取りを迫られる。

亜木津工業(大阪府東大阪市、楠本光晴社長、06・4309・2212)は、8日から社外勤務が可能な営業部門などでテレワークを拡大する。電車や自動車の通勤者には時差出勤も導入する。

同社の製品は機械などの部品に必要で、今は食品・医療関連の注文が多く、モノづくりを止めることはできないという。ただ小島専務は「受注はこれまでより約10%減っており、さらに減少する可能性はある」と警戒感も示す。

大日本住友製薬は8日から5月6日まで、緊急事態宣言の対象となった東京本社(東京都中央区)と大阪本社(大阪市中央区)の従業員約900人に在宅勤務を適用する。医薬品の安定供給体制を維持するため、生産体制は変更せず通常操業する。

カシオ計算機は、緊急事態宣言の対象地域で勤務する全従業員に原則出社を禁じて在宅勤務を指示する方針。同社は2月26日に在宅勤務制度の推奨を開始。3月25日の小池百合子東京都知事の会見を受けてさらに積極的な利用を呼びかけてきたが、対応をさらに強化する。

日本取引所グループ(JPX)は、2月末に始めた部署ごとのチーム分けによる交代制テレワークや休暇の取り組みを強化。在宅では不可能な市場監視などの部署に関してはセキュリティーや運営に影響が出ない範囲で出社人数を抑制し、市場運営を継続する。

デジタルサイネージやスマートフォン向けアプリケーション開発などを手がけるテレマ(千葉市中央区、三輪剛社長、043・216・4176)もテレワーク導入の準備を進める。すでに全社員を対象に2週間程度、テレワークを試験実施した。三輪社長は「業種柄、業務効率は下がる。緊急事態宣言など周囲の状況を見極めて本格実施する」と話す。

スイスのアデコグループの日本法人アデコ(東京都千代田区)は従業員の出勤管理を徹底する。7日から5月6日まで上長に許可を得た上での出勤に切り替える。経営層含めた約3000人を原則的に在宅勤務としていたが、これまでは自己判断のもと出勤していた。許可制にして感染拡大の防止と、発症した場合の濃厚接触場所などの迅速な経路特定につなげる。

YKK APは公共交通機関で通勤する社員を自宅待機とする。緊急事態宣言の対象エリアにある工場が対象で、自動車通勤の社員のみで稼働する。「大半がクルマ通勤のため、影響は軽微と予想する」(広報室)。