将来の反転攻勢の基盤に―。観光庁は夜間や早朝も旅行客が楽しめる観光資源を全国各地で整備する。早朝の漁船体験や夜間における地域の花火イベントといった事業提案を地方自治体などから募って6月以降に開始し、急激に落ち込んだ旅行消費額の反転につなげる。新型コロナウイルス感染症の拡大は観光業に大打撃を与えている。この状況が収束した後、すぐに観光業を少しでも回復させるための準備を進める。

「93%減」−。3月に日本を訪れた外国人観光客の前年比だ。新型コロナの影響で激減した。日本国内でも移動自粛の動きが広がっており、観光業は苦境に立たされている。

こうした中で観光庁は、コロナ収束後すぐに多くの観光客に訪れてもらえるような環境整備を重視する。観光客の回遊性を高め、旅行消費額の反転増加や長期滞在を促す仕掛けとして夜間や早朝に楽しめる観光コンテンツを開拓する。具体的には早朝の漁船体験やヨガイベント、夜間における地域の花火イベントなどを想定する。

観光庁は11日まで地方自治体などから事業提案を募集している。優れた提案を6月までに選定し、早ければ同月中に事業を開始する。

観光庁観光資源課の中谷純之新コンテンツ開発推進室長は、「(国土交通省や観光庁としては)コロナ収束に向けた取り組みはもちろん十分に行うが、収束後1日でも早く多くの観光客が日本各地を訪れる環境の整備も重要と考えている。いつか必ず来る反転攻勢の時期のためにしっかり基盤を整えたい」と力を込める。

夜間や早朝における観光資源の開拓は観光庁の有識者会議が2018年3月に策定した提言で重要性を指摘した。訪日外国人観光客から「夜間や早朝はどこに行けばよいか分からない」といった意見が多かったからだ。政府は「20年に訪日外国人旅行消費額8兆円」という目標を掲げており、その達成の肝の一つに位置づけた。

観光庁は18―19年度に夜間の観光資源の開拓に挑み、その知見について全国の観光産業関係者に共有するためナレッジ集としてまとめた。今回の事業では新たに文化庁や環境省と連携して地域の美術館や博物館、国立公園、温泉地などを使ったコンテンツや早朝の時間帯に焦点をあてたコンテンツの開拓に挑む。