3月、国内エチレン生産設備の平均稼働率は、定期修理中の設備などを除き、6年4カ月ぶりに90%割れの88・7%となった。石油化学工業協会の森川宏平会長(昭和電工社長)は、「中国経済の減速、米中貿易摩擦などによる世界景気停滞に加え、ポリエチレン、ポリプロピレン等において今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響も出てきている」と指摘する。

3月のエチレン生産は、定修中の設備が2基増えたため、前年同月比19・3%減の45万3600トンとなった。

エチレンは、プラスチックなど多様な化学品生産の出発点。日用品容器や自動車・家電部材になるまで複数の企業が介し、景気変動の影響は遅れて出る。また、4―5年前に三菱ケミカルや住友化学、旭化成が生産能力を縮小し、内需に見合う国内生産規模となった。

それだけに、わずかであれ90%割れは化学業界にとって大きな衝撃で、世界経済の減速の広がりを物語る。

これまで約3年間、業界再編の成果によりエチレン生産は高稼働を続け、2017年1月には平均稼働率“100%台”の記録を打ち立てた。ただ、19年に入って米中貿易摩擦などの影響がじわりと広がり、エチレンより川下のプラの出荷動向に弱さが見え始めた。19年夏以降はエチレン設備の平均稼働率が95%を下回る月が増えた。足元でこれに新型コロナも重なった形だ。

20年度はさらなる需要減退が否めず、新型コロナや原油価格、世界景気など不確定要素の中で見通しにくい。