新型コロナウイルス感染拡大による移動制限は解除されたが、子どもの学校や塾などではオンライン授業が続くケースもある。両親が在宅勤務の場合、仕事をしながらどう効率的に子どもの面倒をみればいいのかは悩みの種だ。こうした中、住宅各社は仕事と子育てを両立しやすい部屋や間取りを積極的に提案している。(大城麻木乃)

半個室が有望

旭化成ホームズはリビングやダイニングの近くにセミ・オープン(半個室)タイプの部屋を設置することをすすめる。在宅勤務の増加で個室を望む声は多い。一方、同社のくらしノベーション研究所が4月に実施した調査によると、在宅勤務のメリットで「家族と過ごす時間が増える」と答えた人が約8割に達した。「個室では家族と交流できず、せっかくのメリットが生かされない」(同研究所の松本吉彦所長)場合もあるため、半個室として子どもと関わりながら仕事もできる両立型の空間を提案する。

かげやまモデル

積水化学工業は教育クリエイターの陰山英男氏の考えを基にした子どもが賢く育つ間取り「かげやまモデル」を売り込む。ダイニング横に大きなカウンターデスクと本棚を置き、家族に見守られながら学習できる環境などが特徴だ。従来から提案している間取りだが、新型コロナ禍で「ウェブからの資料請求が約1・5―2倍に増えた」(住宅カンパニーの桝田洋昭氏)という。ニーズを捉え、子育て世代にあらためて訴求したい考えだ。

家具で仕切り

積水ハウスの住生活研究所は、在宅勤務などに対応した新しいライフスタイルのコツを公表した。特別に個室をつくらなくても、本棚など大型家具を使って仕切りをつくると、「家族と同じ空間にいても互いに集中しやすい環境をつくれる」(河崎由美子所長)と説く。子どもの学習場所は子ども部屋に限らず家のリビングなど複数カ所に用意することで「集中しすぎて疲れることから解放される」(河崎所長)とみる。

大和ハウス工業はリビングと地続きの場所に仕事部屋を設け、透明なガラス窓から子どもを見守れる空間を提案。住友林業は吹き抜けを利用して子どもの様子を把握できる仕事部屋を設計した。

各社とも新型コロナ禍でモデルルームが休業に追い込まれ、4―5月の受注は前年同期比2ケタ減と苦戦した。6月は移動自粛が解除されたものの、モデルルームの接客は1時間に2組までなどと制限を設ける企業が多い。従来のように自由に営業ができない中、知恵を絞って提案力に磨きをかける。