三田理化メディカル(東京都文京区、千種潤也社長、03・3812・5394)が販売する「採血検査用やわらか湯たんぽ」は、冬場の採血検査で指先などの血行を促進して採血しやすくするアイデア製品だ。関東の医師の要望に大分のモノづくり企業が応えるという地域を越えた連携で開発した。

抵抗感を低減

手袋型と筒型の2種類があり、お湯を入れて使う。80度Cのお湯を入れて約4時間使用できる。指先や腕を温めることで血行を促進し、採血時に「血管が見えづらい」「血液が採取しづらい」といった問題を改善する。

ウエットスーツに使用される素材を用いているため柔軟性と断熱性が高い。落としても壊れにくく、電力も不要。高齢者が待合室で使う場合でも不安を与えることなく、スムーズに採血ができる。医師の助言の基に、使用者が採血する際の抵抗感を低減する形と色にした。お湯を注ぐロートや熱を伝えないキャップなど、医療現場での使い勝手を追求している。2018年の発売から2年間で12の医療機関に導入された。

販売を担当する同社は開発にあたりニーズとシーズのマッチングを行った。千種社長は「医工連携はチームビルディングから」と語る。同社は医療機関向けの調乳システムや洗浄設備などを手がける三田理化工業(大阪市北区)の関連会社。医療機関向け市場調査と商品開発ノウハウを持つ。

千種社長は各地の医療現場のニーズ発表会に参加して情報を収集し、全国規模で医療機関とモノづくり企業の連携を行う。企業だけではつかめない医療現場の知識を生かし、実用を想定して医療機関のニーズを分かりやすくモノづくり企業に伝える。医療機関にも代替案や提案を出すなど両者の仲介役として連携を加速させる。

経験を共有

実際、「医工連携にはモノづくり企業と医療機関に加え、製販会社の役割が大きい」(千種社長)。経験を基にした助言や販売戦略がなければ医療機器の製造・販売は難しい。「医療現場が示した使用想定だけだと、深く考えずに届け出や認証をしなければと思いこんでしまう」(同)ことがあるそうだ。

以前、患者のシャワー浴補助製品を発売したことがあった。しかし、予期せぬ使用のため回収を余儀なくされた。この経験から厳格な回収要件などを負ってまで認証を取るメリットがあるかを考え、認証が不要な製品を優先し、スピード感を持って開発・販売することを意識している。こうした経験などをモノづくり企業と共有して医工連携を進める。

やわらか湯たんぽの製造元で、ウエットスーツを手がけるヘルメット潜水(大分県国東市)の伊賀正男社長は「ニーズの把握や助言により安心感を持って製造できる」と、販売企業が製品開発に関わることの安心感を語る。新型コロナウイルスの感染拡大を機に「感染症から身を守る」という新たな価値観が消費者に芽生えた。三田理化メディカルの千種社長は「これを好機だ」と捉える。今後も自社を通じて医工連携の促進とともに、新製品投入を目指す。