生命保険業界は到来した「人生100年時代」への対応を進めている。長寿化は望ましい一方、平均寿命と健康寿命には開きがあり、老後資産への不安など“長生きリスク”に伴う課題が生まれた。顧客の高齢化に伴うニューリスクへの商品開発が続いている。

長生きリスクの一つが認知症だ。厚生労働省によると、認知症患者数は2025年に700万人に達し、65歳以上の5人に1人が発症すると推計している。他人事として俯瞰(ふかん)する時代は過ぎ、自分事として認識すべき身近なリスクに姿を変えた。

認知症保険は太陽生命保険が16年に業界に先駆け投入後、朝日生命保険や損保系生保などでも商品開発が加速。20年には日本生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険が相次ぎ商品を発売、18年から販売している第一生命保険を加えた大手4社で商品がそろった。太陽生命の副島直樹社長は「認知症保険は第2のがん保険になり得る」と高い需要を見込んでいる。

今後、生保各社の商品戦略は医療保険など保障性商品へのシフトが鮮明になりそうだ。国内大手生保の20年3月期決算は、近年の業績のけん引役を担っていた外貨建て保険の販売減少を主要因に複数社が減収となった。

国内のマイナス金利に加えて、米国債などの海外金利が低下して運用環境が悪化。同保険は底堅いニーズがある一方、魅力的な商品供給が困難な環境にある。日本生命の朝日智司取締役常務執行役員は「商品提供は今後も課題。場合によっては売り止めの懸念もある」と話す。

ただ、保障性商品は販売好調を維持。これに加え、コロナ禍もあり、顧客の万が一に対する備えの意識は高まっている。営業職員による対面販売を強みとする生保がコロナ禍の影響で営業を自粛した期間、ネット経由で加入できる通販型生保が“受け皿”となり、契約が当初見込みより増える現象も発生した。

認知症保険やトンチン年金といった高齢化に対応した商品のほか、死亡時より生存中の保障に軸を置いた就業不能保険など保障性商品の人気は根強い。今後も新たな商品開発が続きそうだ。