ソフトバンクグループ(SBG)と米半導体大手エヌビディアが“蜜月”ぶりを見せつけた。SBGは29日、孫正義会長兼社長(写真左)とエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO=同右)の対談動画を公開。孫会長はエヌビディアの人工知能(AI)関連技術を称賛し、フアンCEOはSBGの半導体設計子会社である英アームの買収で事業が強化できると意欲を示した。両氏の思惑通りにAIが普及し、SBGは対価を得られるのか。(斎藤弘和)

「私たちの夢は、エヌビディアのAIを、アームのエコシステム(生態系)に参加させること。現在のライセンシー(特許の実施権者)との全ての有効なライセンス契約を、今後も続けると約束する」―。フアンCEOは対談でこう述べた。

SBGは2022年3月をめどにアームをエヌビディアへ売却し、エヌビディア株の約6・7―8・1%を保有する見通し。アームは中央演算処理装置(CPU)の設計図を顧客へ提供する事業を展開してきたため、エヌビディアと競合する半導体企業はアームの中立性が損なわれることを懸念している。この点を孫会長が問いかけ、フアンCEOは明確に否定した。

エヌビディアが手がける画像処理半導体(GPU)は、AIの普及で需要が高まるとの期待が大きい。例えば自動運転の進歩には、AIによる高精度かつ迅速な画像認識が不可欠とされる。一方、アームの設計を活用したCPUはスマートフォンや、IoT(モノのインターネット)デバイスで使われている。

こうした端末にAIが搭載される例が増えれば、クラウド上のサーバーで稼働するAIとの相乗効果が高まる可能性がある。「(端末の)AIは(機械学習で)間違えることもあるが、それを記憶しクラウドに送り返す。クラウドは間違いを学んで全ての機器に伝えるので、全員が一気に賢くなる」(フアンCEO)。

孫会長は「アームの素晴らしさは普及率。パートナー企業の数がとても多い」と語り、エヌビディアが描く生態系の構築に貢献できるとした。エヌビディアがアームの買収完了後にそうした理想を実現し、SBGは大株主としての果実を得られるかが注目される。