三菱電機は2021年度にIoT(モノのインターネット)技術を活用して特別養護老人ホームなどでの見守りサービスを事業化する。各部屋に設置するセンサー端末を試作したほか、既設エアコンの赤外線センサーを活用する。超高齢化社会に入り、人材不足を含めた介護者の激務が深刻な問題となっており、同社ではデジタル技術で社会課題解決に貢献する。

三菱電機は20年に介護支援システム開発ベンチャーのジーワークス(東京都新宿区)に出資して協業を始めていた。見守りサービス事業化に向け、赤外線センサーなどを搭載したセンサーモジュールを試作し、特定のサービス付き高齢者向け住宅などで実証を進める計画。天井などに同モジュールを取り付けることで、実際に職員が各部屋の見回りをせずに入居者の動きを遠隔で把握できる。加えて、人工知能(AI)などを用いて人の動きを予測し、歩行中のけがを未然に防ぐシステムも構築する。

また国内シェアの高いエアコン「霧ヶ峰」を強みとし、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を想定した見守りサービス拡販を狙う。既設の霧ヶ峰に搭載された赤外線センサー「ムーブアイ」を利用することで、別途のセンサー端末設置が不要で顧客のサービス導入コスト低減につながる。

ムーブアイは人工衛星にも使われる高性能な赤外線センサー。エアコンは部屋全体を見渡せる位置にあるため高齢者などの見守りに適する。カメラの画像センサーのようなプライバシーの問題が本来なく、顧客にとってもサービス導入のハードルは低いとみられる。

三菱電機は20年4月に全社横断での新規事業創出を担うビジネスイノベーション本部を新設した。今回の見守りサービスが同本部として新規事業の第1号案件になる見込みだ。

エアコン活用、各社競う

エアコン各社が、家庭用エアコンを使った見守りサービスに力を入れている。もともと部屋を見渡す位置に設置し、センサーの高度化、温度管理の必要性など、サービスとの親和性が高い。高齢者の見守りニーズが高まる中、将来はエアコンにとって欠かせない機能となりそうだ。

パナソニックは2016年6月に「エアコンみまもりサービス」をスタート。クラウド対応のエアコンと非接触センサーを組み合わせ、プライバシーに配慮しながら入居者の生活リズムの把握や、介護施設職員の安否確認業務の負担軽減につなげる。既にサービス付き高齢者向け住宅や介護施設、病院などで導入実績がある。

20年7月からは高齢者介護施設での見守りシステム、ナースコールなどのデータを一元管理し、介護業務の品質向上につなげる支援サービス「ライフレンズ」に一本化した。

ダイキン工業もエアコンと連動した見守りシステム「ダイキンサポートライフ」を20年5月に市場投入。エアコンのオプション品として単身高齢者世帯などに提案している。

専用のセンサーではマイクロ波で衣服や布団の上から脈拍、呼吸などを検知する。室内の人の存在や就寝・起床の状況を解析し、10分ごとに情報を更新。スマートフォンから確認できる。エアコンと連動し、在室時に室温が高くなれば自動で冷房を開始し、就寝を検知すると睡眠に適した運転に切り替える。今後は老人ホームへの提案も増やす考えだ。