名古屋の工業高校が飛行機の試験飛行に成功、人材づくりに期待高まる

名古屋の工業高校が飛行機の試験飛行に成功、人材づくりに期待高まる

 名古屋市立工業高校は1939年(昭14)開校の名古屋市立航空工業学校が前身の一つ。戦時中には航空機を製造した歴史を持つという。開校から80年近くたった2017年1月、飛行機同好会が香良洲飛行場(津市)で小型有人飛行機の試験飛行に成功した。エンジンを動力源とする飛行機の設計から製造までを同校の卒業生を含め50人以上が関わり、7年越しの夢を実現させた。

 現在は改良に向けて模型などを使った設計などを行っている。飛行機同好会が築いた財産、ノウハウを有効活用すべく、18年度から3年次の選択科目で航空宇宙の授業を設ける。

 航空機メーカーOBなどを講師に招き、航空機の設計や航空力学などを学ぶ。地元の中部地域は国産小型ジェット機「MRJ」などで航空宇宙産業の集積が進んで人材確保が必要になっており、人材育成で貢献する考え。

 6月には試験飛行に成功した飛行機を名古屋市科学館で展示することになり、同時にブーメランやコマなどの工作教室を開いた。

 「工業高校では全国初」(福山宏明校長)のユネスコスクールの認定を受けており、地域に根ざした活動に積極的だ。環境技術科が近隣の幼稚園、保育園で廃油からのキャンドル作りなどの出前授業を実施したり、機械科と機械研究部が社会福祉協議会で車いすのメンテナンスを行ったりしている。

 各学科の得意なことを生かした地域貢献に楽しみを覚え、自ら手を上げて協力する生徒が増えている。

 16年度には3年次の5―12月に週1日、計20日間企業で研修を受けるデュアルシステムを始めた。17年度は13人がメーカーや情報システム関連企業、自動車ディーラーなどに通っている。研修では大型機械の使い方を習い、特定の材料を使ったモノづくりの課題を出されたり、資格取得に向けた実技指導を受けたりしている。

 福山校長は「より高度で実践的な技術と社会性を学べる」と意義を語る。高精度加工や高品質生産などでの技術者、作業者の真剣さなど、学校では伝えられないものを肌で感じ取れる貴重な場になっている。
【DATA】◇校長=福山宏明氏◇所在地=名古屋市中川区◇学科構成=〈全日制〉機械科、電子機械科、自動車科、電気科、情報技術科、環境技術科、〈定時制〉工業技術科◇生徒数=全日制716人、定時制124人◇主要設備=ロボドリルや旋盤などによる自動加工ライン、フライス盤、車検用検査装置など◇主な進路=トヨタ自動車、三菱重工業、日本特殊陶業、大同特殊鋼、中部電力、リンナイ、自衛隊、豊橋技術科学大学、中部大学など

(金曜日に掲載)

【ファシリテーターのコメント】
職業訓練の場は海外にも広げており、18年度から夏休みにドイツで10人が研修を受ける取り組みを始めた。現地でフォルクスワーゲン(VW)やコマツといった大手企業などで実習し、経験を積んでいる。
(日刊工業新聞名古屋支社・市川哲寛)
日刊工業新聞 記者

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