千葉大学は国立の総合大学で先駆けて、2020年度に授業料を引き上げるほか、産学連携でも大胆な改革に動いている。大規模大学は一般に部局が多様で意見が割れ、小規模・単科大学のようなスピーディーな変化が難しい。その中で発揮される徳久剛史同大学長のリーダーシップは、地方総合大学などで参考になりそうだ。(取材=編集委員・山本佳世子)

【国際化推進】

国立大は経済的に厳しい学生を受け入れる役割がある上、学問分野により教育研究の手法も経費の多少も違う。そのため値上げは目的を含め、学内部局の意見がまとまりにくい。他の値上げ表明が東京工業大学、東京芸術大学、一橋大学と、トップクラスの単科大学に限られるのはそのためだ。総合大学の千葉大で、国が定める上限の2割増の値上げという合意を国際化推進の目的でとった学長の手腕は、注目に値する。

【外部資金増狙う】

同大は「スーパーグローバル大学創成支援事業」「大学の世界展開力強化事業」など文部科学省の国際化事業の採択を重ね、15年度に「国際日本学」の学びを全学で必修化。16年度、国立大初の「国際教養学部」設置で留学必修の先鞭(せんべん)を付けた。

その上で学部・大学院生全員の留学を掲げる「千葉大学グローバル人材育成『ENGINE』」を20年度に始める。徳久学長は「各国に設置した拠点を、国の補助金とともに終わらせてはいけない。学生が選べる留学プログラムも20から80に増やす」と意気込む。

学長リーダーシップを重視する他の国の大型事業でも、同大の採択は相次ぐ。文科省の「卓越大学院プログラム」ではENGINEを土台に生命科学、自然科学、人文社会科学を融合した博士教育を行う。内閣府の「国立大学イノベーション創出環境強化事業」では、産学連携の多様な手だてを束ねた新組織で外部資金増を狙う。医学部出身の学長が手がけてきた医・薬・看護学部の亥鼻キャンパス(千葉市中央区)での実績アップに続き、他学部が集まる西千葉キャンパス(同稲毛区)に切り込む。

【副学長増員】

同大は旧六医科大学の伝統の一方で、志願者獲得で私立大とも競る“首都圏にある地方国立大学”だ。10学部あるが、国立大の方向性で「世界」を選んだ16校の中では小規模だ。そのため旧帝大などと比べ、部局の独立性が弱くまとまりやすい面がある。

「幸運だったのは学長リーダーシップ強化の国の施策に重なったことだ」と徳久学長は振り返る。部局長の学長指名に加え、現場をよく知る副学長の増強に動いた。各部局1、2人ずつの計14人程度まで増やし、「議論となる案件も顔を合わせられればまとめられる」(徳久学長)と週1回で会議を遂行。納得を得ての改革という流れを固めている。