熊本地震 過去の噴火で積もった軽石が壊れた可能性

去年4月の熊本地震で激しい揺れを観測した熊本市では、これまで比較的固いと考えられていた地下の地層が局所的に沈み込んで、建物が大きく傾くなどの被害が出たと見られることが専門家の調査でわかりました。専門家は過去の噴火で積もった地下の軽石が地震の揺れで壊れた可能性が高く、ほかの地域でも詳しい調査が必要だと指摘しています。

去年4月の熊本地震で震度6強の揺れを観測した熊本市東区などでは、地震の揺れによって局所的に地盤沈下が発生し、水道用の地下水をくみ上げるための複数の井戸の建屋が大きく傾く被害が相次ぎました。
建屋はそれぞれ別々の方向に傾いていて、地震による揺れや地盤のずれでは説明がつかず、周辺では液状化が起きた痕跡も見つかりませんでした。

地震工学が専門の横浜国立大学の小長井一男教授の研究グループは、地下の地盤に注目して詳しく分析しました。その結果、地盤沈下が起きた場所では、いずれも地表から20メートルから50メートルほどの深さに過去の阿蘇山の噴火で出た軽石を含む層があり、地震の激しい揺れによって穴が多い軽石が砕けて局所的に地盤沈下が発生した可能性が高いことがわかりました。

小長井教授によりますと、軽石を含む層でこうした地盤沈下による被害が確認されたことはなく、これまでは比較的固い地層と考えられ、地盤沈下の影響も考慮されていないということです。

小長井教授は、同様の地層がある地域では、地震の激しい揺れによって地盤沈下が発生し、建物などを支える地下のくいが折れたり、状況によっては建物が傾いたりする被害の可能性もあるとしています。

小長井教授は「同様の地層は、阿蘇山の周辺以外にも九州や関東など火山がある各地に分布していると考えられ、詳しい調査を行うなどして今回の教訓を生かしていく必要がある」と話しています。
【井戸の建屋の傾きがきっかけに】今回の調査は、去年4月の熊本地震で上水道に利用する地下水をくみ上げる井戸の建屋が大きく傾く被害が確認されたことがきっかけでした。

熊本市では市内の上水道に地下水を利用していて、熊本市上下水道局によりますと、去年4月の地震の直後に水に濁りが確認されたため給水を停止して見回りをしたところ、鉄筋コンクリート製の井戸の建屋が傾いているのが見つかったということです。被害が確認されたのは、96の建屋のうち揺れが激しかった熊本市東区の益城町との境界付近にあるおよそ20棟で、このうち8棟は傾きが大きく建て替えが必要だと判断されました。

熊本市上下水道局の坂田憲盟水相談課長は「くいを支える地下の層が動かなければ、建物自体は安定するはずだと考えているので、これだけ傾くというのは予想しておらず、まさかと思いました」と話しています。

また、地震工学が専門で横浜国立大学の小長井一男教授の研究グループが調べたところ、建屋の傾きは最大で3度に達していました。建屋は四方にある長さ20メートル前後の4本のくいで支える構造になっていますが、一部の建屋では地震後に柱が最大で40センチ程度沈下していたということです。

小長井教授によりますと、地下水をくみ上げている長さ200メートルほどの「ケーシング」と呼ばれる管がつっかえ棒のようになって、建物が傾いたと見られるということです。地盤沈下が起きた場所では、いずれも地表から20メートルから50メートルほどの深さに、過去の阿蘇山の噴火で出た軽石を含む層があるということです。

軽石は噴火の際に溶岩が急速に冷えてできたもので穴が多く、小長井教授は地震の激しい揺れによって穴が多い軽石が砕けて、局所的に地盤沈下が発生した可能性が高いと分析しています。

一方、震度7の激しい揺れを観測した益城町では、地震後の去年6月に大雨で町を流れる木山川の堤防が決壊して浸水する被害が発生しました。

小長井教授が航空機を使ったレーザー測量のデータをもとに解析したところ、地震の揺れによって周辺で1メートル前後の地盤沈下が起きていたということです。小長井教授によりますと、地盤沈下は多くは地震による地殻変動の影響と見られますが、軽石を含んだ層も影響している可能性があるということで、洪水は堤防が低くなったうえに地盤沈下した場所がくぼ地のようになって水がたまりやすくなったことが原因と考えられるということです。

小長井教授は「特殊な建物があったことで、地下の地層の状況によって地盤沈下が起きる可能性が初めて明らかになってきた。建物に加えて橋脚や地下のインフラなど、さまざまな影響が考えられるので、さらに詳しく調べる必要がある」と話しています。

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