去年5月、大津市で散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、2人が死亡した事故で、過失運転致死傷などの罪に問われた被告の女の裁判は、被告が別の罪について突然争う姿勢に転じたため、16日予定されていた判決が後日に延期される異例の事態となりました。

大津市の無職、新立文子被告(53)は去年5月、車を運転中、大津市の交差点で前方を確認しないまま右折し、対向する車を信号待ちの保育園児の列に突っ込ませ、2人が死亡、14人が重軽傷を負う事故を引き起こしたとして、過失運転致死傷の罪などに問われています。

裁判は、16日判決が言い渡される予定でしたが、先月、すべての審理が終わったあとに新立被告が民放テレビ局の取材に応じ「不運が不運を呼んだ」とか「対向する車がブレーキを踏んでいれば」などと裁判で主張していなかった発言をしたため、検察側が審理の再開を申し立てました。

そして改めて行われた被告人質問で、被告は発言について、「言いたいことが伝わらず、裏目に出てしまった」などと話しましたが、被害者の家族は法廷で「被害者感情を踏みにじるもので、最大限の刑を受けても納得できない」と批判しました。

さらにこのあと被告が出会い系サイトで知り合った男性につきまとったとする別の罪について争う姿勢に転じたため、裁判は中断を繰り返し、最終的に判決の言い渡しは延期されました。

異例の事態に、大津地方裁判所の大西直樹裁判長は、新立被告に対し「不本意だが審理を続行せざるをえない。今までにも十分時間があったはずで弁護士ときちんと話をして準備をしておいてほしい」と注意しました。
【被害者側弁護団 「被害者を愚弄するもの」】裁判のあと被害者側の弁護団が会見し、16日の裁判について被害者家族のコメントや受け止めを話しました。

弁護団によりますと、16日の裁判には事故の被害者の家族合わせて22人が立ち会ったということです。

予定されていた判決が後日に延期される異例の事態となったことについて、弁護団の石川賢治弁護士と大野聡子弁護士は「こういう形で審理が続行するのは想定外。不本意で納得がいかない。意見を覆すということは今まで述べたことは真意ではなく、反省の弁は訴訟戦略だったということ。被害者を愚弄するもので、極めて遺憾だ」と話しました。

また、被害者家族5人のコメントを読み上げました。

このうち、ある家族は「今まで十分な検討期間があったのに、判決日にやり直しをしたいと言われ、被害者は疲れ切ってしまいました。振り回されて本当に疲れている」とコメントしました。

また、別の家族は「全く悪びれた感じがなかった。言い訳をして刑を軽くしようとしている。口では被害者遺族に悪いと言っているが、自分も被害者だ、運が悪かったと思っているようにしか思えない。きょうの体調不良も演技のように感じた。許せないのひとことに尽きる」とコメントしました。
【新立被告は…】裁判のあとNHKの取材に対し新立被告は、「申し訳ありません。体調が悪いので」とだけ話し、足早に裁判所をあとにしました。